神産巣日神

(かみむすびのかみ)
天地開闢の時に現れた三神(造化三神)のうち、
最後に現れた神。
 
 

どんな神様?

三番目に登場した独神です。
 
「産霊」(むすひ)は生産・生成を意味する言葉で、
高御産巣日神(たかみむすひのかみ)とともに生成力を神格化した存在です。
高御産巣日神(たかみむすひのかみ)が男神的で「天」と強く関わるのに対し、
「地」に生きる生命を育み、「蘇らせる」霊力を持つ
母神的な神様とされています。
 

穀物生成の神

神産巣日神(かみむすびのかみ)
「産霊(ムスビ)」の名を持つことから万物生成に関する神様です。
 
『古事記』の「五穀起源神話」によれば、
高天原を追放された「須佐之男命すさのおのみこと」が出雲に降りる途中、
大宜都比売神(おおげつひめのかみ)に食べ物を求めた際、
口や鼻、尻からご馳走を取り出したため、
食事が汚いと、怒りを買い斬り殺されてしまった時に、
その体から生じた五穀を採取し、種にしたと言われています。
 
<大宜都比売神の体から生じた五穀など>
  • 頭  :蚕
  • 両目 :稲種
  • 両耳 :粟
  • 鼻  :小豆
  • 陰部 :麦
  • 尻  :大豆
 
 

出雲系の神々の祖神的存在

神産巣日神は出雲と深く関係しているとされます。
『出雲国風土記』では御祖命(みおやのみこと)と呼ばれており、
出雲の神々の母なる神として崇拝されています。
 
『古事記』では、
大穴牟遅神おおなむちのかみ(大国主神)が八十神に謀殺された時、
母・刺国若比売さしくにわかひめに懇願され、
「𧏛貝比売」(きさがいひめ)と「蛤貝比売」(うむぎひめ)という
貝の女神を遣わされて蘇生させたり、
自分の御子神である少名毘古那神(すくなびこなのかみ)をパートナーにさせて、
自らが命じた「国造り」のサポートさせたりしました。
 
他にも、「国譲り」の後に
大国主神が住んだ「杵築大社」(きづきたいしゃ)の造営にも関わるなど、
「出雲系」の神様を強力にバックアップしています。
 
 

宮廷祭祀の重要な神

高御産巣日神たかみむすびのかみともに、
古くから「大嘗祭」や「祈年祭」などで祀られるなど、
古くから宮廷祭祀の重要な神とされていますが、
民間では祭神として祀る神社は限られているため、
あまり一般的な神様ではありません。
 
 

別称

  • 神産巣日神 ・・・ 『古事記』
  • 神皇産霊尊 ・・・ 『日本書紀』
  • 神魂命   ・・・ 『出雲国風土記』
  • 神皇産霊命
 
 

ご利益

  • 五穀豊穣
  • 延命長寿
  • 願望成就
  • 無病息災
 

神格

  • 生成力の本源神
  • 地の生成神
  • 農耕神
  • 出雲の神々の祖神
 
 

関連神

  • 造化三神ぞうかさんしん天之御中主神あめのみなかぬしのかみ高御産巣日神たかみむすびのかみ神産巣日神かみむすびのかみ
  • 別天津神ことあまつかみ(造化三神・宇摩志阿斯訶備比古遅神うましあしかびひこぢのかみ天之常立神あめのとこたちのかみ
  • (御子神)少彦名命
         ・・・ 穀物神、医療神、酒造の神、温泉神
 
 

神産巣日神を祀る神社

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