菖蒲(しょうぶ)

f:id:linderabella:20200722104942j:plain

 
 
「端午の節句」は「菖蒲の節句」とも呼ばれ、
現在では「こどもの日」に制定されており、
更に「薬の日」でもあります。
飛鳥時代には野山で「薬猟」(くすりがり)と呼ばれる
野草摘みの行事が行われていました。
 
 

菖蒲

旧暦五月は高温多湿で、伝染病や害虫が発生する時期です。
菖蒲やよもぎは香りが強く、薬効に優れていることから、
門戸にかけて魔除けにしたり、悪鬼を祓い、無病息災を祈りました。
 
奈良時代には、
無病息災を祈るための宮中行事が行われたとされており、
「菖蒲」(しょうぶ)を浸した酒を飲む風習がありました。
貴族の間では、菖蒲を髪に刺す「菖蒲蔓」、
枕の下に敷く「菖蒲枕」などで邪気を祓いました。
葉が剣のように尖っていて香りの強い菖蒲は、
呪力が強い植物と考えられていたのです。
 
この「菖蒲」(しょうぶ)の根茎を干した
生薬の「葛根」(かっこん)
鎮痛、血行促進作用を持つとされ、
神経痛やリウマチ、腰痛などの用いられます。
昔から民間療法の風邪薬として有名な漢方薬
「葛根湯」は「葛根(葛の根)」が主成分で、
他に「生姜」、「シナモン(肉桂・桂皮)」、「大棗」(なつめ)
「麻黄」(まおう)、「芍薬」(しゃくやく)、「甘草」(かんぞう)
といった植物が調合されています。
 
クズやショウガの根が全身を温めると同時に、
7種類の植物生薬が持つ相互作用によって、
血行を良くし、発汗を促すとともに、
分泌機能や代謝機能を高め、
老廃物を取り除いてくれると言われています。
 
 

「菖蒲」「花菖蒲」「カキツバタ」「あやめ」

「菖蒲」「花菖蒲」「かきつばた」「あやめ」の4種の花は、
葉や花の色や形が似ていたり、
別名や名前がかぶっていたりと紛らわしいため、
よく間違えられていることがあります。
 
「しょうぶ」と「あやめ」・・・、
漢字で書けばどちらも「菖蒲」になります。
「あやめ」の名の由来は、
花びらに網目の模様があったことから、
「文目」(あやめ)と呼ばれるようになったと言われています。
「しょうぶ」は
飛鳥・奈良時代には「あやめぐさ」と呼ばれていました。
「しょうぶ」を使った邪気払いの儀式をしていた女性を
「あやめ」と呼んでいたからだと言われています。
それが、芳香と厄除けの植物である「菖蒲」の字を当ててから、
「しょうぶ」の呼び名が生まれました。
 
こんな「しょうぶ」と「あやめ」の決定的な違いは、
「しょうぶ」が「サトイモ科」であるのに対し、
「あやめ」は「アヤメ科」。
また姿の似ている「はなしょうぶ」や「かきつばた」も
「アヤメ科」に属しています。
 
菖蒲(しょうぶ)
菖蒲は、同じサトイモ科の蒲の穂のような、
薄黄緑色の目立たない花を咲かせます。
花弁もないので、
よくよく見ないと見つからないほど地味な花です。
つまり、色鮮やかな花びらをしている植物は、
「菖蒲」ではありません。
 
花菖蒲(はなしょうぶ)
花菖蒲は、花びらの付け根が黄色くなっているのが特徴です。
 
杜若(かきつばた)
杜若は、花びらの付け根が白くなっているのが特徴です。
 
あやめ(綾目、文目)
あやめは、花びらの根本が網目状の線が入っているのが特徴です。
 
 

菖蒲酒

「菖蒲酒」には、
厄除けや邪気払い効果があると言われています。
また、菖蒲の香りはリラックス効果に期待が出来るそうです。
 
奈良時代には、
無病息災を祈るための宮中行事が行われたとされており、
「ショウブ」を浸した酒を飲む風習がありました。
菖蒲の根の部分は漢方としても利用されていて、
主に鎮痛や消化促進の作用などが期待されています。
1月 屠蘇酒 (とそしゅ)
2月 梅花酒 (ばいかしゅ)
3月 桃花酒 (とうかしゅ)
4月 花見酒 (はなみざけ)
5月 菖蒲酒 (しょうぶざけ)
6月 岩魚酒 (いわなしゅ)
7月 竹管の酒 (ちくかんのさけ)
8月 鰻酒 (うなぎざけ)
9月 月見酒 (つきみざけ)
10月 菊花酒 (きくかしゅ)
11月 花梨酒 (かりんしゅ)
12月 鰭酒 (ひれざけ)
 
[菖蒲酒の作り方]
菖蒲酒は、菖蒲の根を日本酒に入れて作りますが、
菖蒲の根を手に入れるのは困難です。
という訳ですので、今回は葉の根元の部分を利用してみました。
  1. 菖蒲の葉の根元部分を薄く切ります。
  2. 徳利や銚子などに日本酒入れます。
  3. 2.に1.の薄く切った菖蒲を数枚程入れたら、完成!
 
菖蒲は、長く日本酒に浸してしまうとアクが出てしまうため、
飲む前に30分程度浸しましょう。
そして、すぐ飲み切ってしまって下さい。
 
 

菖蒲湯

「菖蒲」の葉には香気があり、邪気を祓うとされ、
「端午の節句」には「菖蒲」の葉を入れたお風呂に入る慣習があります。
また、根は「白菖、菖蒲根」という漢方薬として利用されてきました。

linderabella.hatenablog.jp

  

 文様

文様としては、菖蒲の花や茎、葉が用いられます。
季節感を出す場合は、菖蒲を単独で使い、
「御所解き文様」のような風景の中に、
流水とともに表現されることもあります。
また、尚武(勝負)に通じるために武家に好まれ、
馬具や武具に使われた「菖蒲革」の文様もあります。
「菖蒲革」は鹿のなめし革などを藍色で染めて、
白く小さな菖蒲文様を染め抜いた染め革の一種です。
現代は、菖蒲の葉は花をかたどったものが小紋などに染められています。
 

f:id:linderabella:20201029124125j:plain