若火・若火迎え

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新年の行事として、大晦日に歳神様の祭壇に
供える灯明の火種となる新しい火を起こし、
福茶や雑煮を作る竈の火を焚くための
神聖な火を迎える「若火迎え」という行事が
ありました。
 

 
昔は、大晦日の夜に
神社で大きな篝火(かがりび)を焚いたり、
民家でも屋根裏に届くほどの
大きな火を焚く風習が各地にありましたが、
「若火迎え」の行事は
比較的早く廃れてしまいました。
 
ただ、今でも神社の境内で日没後に
篝火を焚き迎えるところがあり、
そのひとつと言えます。
八坂神社では、
12月31日午後7時半頃から「をけら詣り」、
1月1日には「白朮祭」(をけらさい)
行われています。
 


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「おけら詣」は、社の前でおけら(朮)を燃やし、
その煙のたなびく方角でこの一年の吉凶を占う神事です。
参拝者はこの火を火縄に移して家に持ち帰り、
灯明を灯したり、雑煮やお節料理を作る火種としました。
 
かつて京都では「おけら売り」が売り歩き、
燻して蔵の湿気を払ったり反物の防カビに
使われました。
色の白いのは「白朮」と言って、
昔は燈芯に使用しました。
生薬でもあり、邪気を払い長寿を願って
正月にいただく「お屠蘇」(おとそ)にも
入っています。
「京都府レッドデータブック2015」で、
絶滅危惧種に分類されました。
 
 

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