石畳(市松)

形や大きさの同じ文様が、地と交互に入れ替わる模様構成を
「入替り文様」と言います。
「石畳(甃)文様」もその一つで、
一般的には、色の違う正方形を上下左右に敷き詰めた格子状の文様、
いわゆるチェック柄と同様の模様です。
 
平安時代には細かい「石畳文」は「霰」(あられ)と呼ばれ、
有職文様の一つとして公家の衣装に用いられました。
やがて、石を敷き詰めた形に似ていることから石畳や敷瓦に。
 
その後、江戸時代中期の上方歌舞伎役者の
佐野川市松がという歌舞伎役者が
舞台でこの模様の袴を着ていたところ、
当時の女性の間で大流行しました。
それ以来、「市松模様」と呼ばれるのが一般的になっています。
 
「市松模様」は、その柄が途切れることなく続いて行くことから、
繁栄の意味が込められ、子孫繁栄や事業拡大など縁起の良い模様として
沢山の人に好まれています。
また同様の理由から、
「市松模様」は2020年の東京オリンピックのエンブレムも採用されています。
東京オリンピックのエンブレムに採用されている「市松模様」は、
通常の同じ四角形が組み合わさった模様ではなく、
3つの四角形が組み合わせてある「市松模様」を担っています。
そこには、多くの文化や国が関わり広がっていくことによる
「多様性」を表現したいという思いが込められているようです。
 

1.石畳文

2色の四角形を交互に並べた文様は、
現在も着物や帯、長襦袢、白生地の地紋、小物などに
幅広く用いられています。
四角形は大小様々な大きさがあり、
菱状に並べたものも石畳文の仲間です。
色の四角形は白黒などの無地で表現される他、
四角形の中に模様を入れたものも多く見られます。
 

2.石畳金襴

「名物裂」(めいぶつぎれ)の一種です。
萌葱(もえぎ)色の地と金箔とによる「石畳文」で、
金箔地の部分に「七宝」を、地の部分に「珠」(たま)を織り込んだ
「宝尽くし」の文様です。
 
 

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