角樽(つのだる)

 
「角樽」(つのだる)は、
樽の左右から突き出した把手に、
持ち手の柄を渡した酒容器です。
婚礼や結納の他、誕生、新築、開店、
創業記念、還暦・米寿、公演のご祝儀など、
おめでたい行事に使われる縁起物です。
 
 

角樽の歴史

角樽は「柳樽」と呼ぶ、
室町時代頃から使われていた運搬用の酒容器が原型です。
今でも結納の目録には、
元々の柳樽の呼び名をもじって「家内喜多留」と記され、
「やなぎだる」と読んでいます。
樽造りの技術が未熟だった当時、
柳の木は柔らかいので加工しやすく、
また水分をよく吸収するため隙間から液体が漏れにくいという
利点がありました。
 
江戸時代の文化文政の頃になると、
酒造りとともに樽造りが発達する中で、
材質は「柳」から「杉」に代わります。
 
更に、把手は角のように見栄えのする形になり、
朱漆や黒漆が塗られて、現在に伝わる「角樽」が生み出され、
慶事の贈答に用いられるようになりました。
 
語呂合わせから、「一升(一生)入り」や、
商家では「半升(繁盛)入り」がよく用いられてきました。
 
 
 
 

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