紫陽花(あじさい)

 

紫陽花の花

「紫陽花」(あじさい)は、
梅雨時を代表する
ユキノシタ科の落葉低木です。
 
梅雨に入る頃に花を咲かせ、
梅雨が明ける頃に花期を終え、
長い梅雨の間を和ませてくれます。
 
 
「紫陽花」の原産地は日本です。
18世紀、ドイツ人医師のシーボルトが
欧州に持ち帰り、品種改良が進みました。
「東洋のバラ」ともてはやされ、
熱狂的な愛好家を生み出しました。
 
 
なお「紫陽花」の英名は「ハイドランジア」です。ギリシャ語の「水」を意味する「Hydro」と
「器」を意味する「Angos」の2つが合わさった
造語です。
その名前の通り、「ハイドランジア」は
多くの水を必要とする植物のため、
水切れには注意して育てるようにしましょう。
 

紫陽花の名前の由来

 
「紫陽花」(あじさい)の語源は、
藍色の花が集まっている様子を意味する、
集まる意の「あづ(集づ)」と
その色の「さあい(真藍)」が合わさって、
「あずさい(集づ藍)」であると言われています。
 
また「あじさい」は、
漢字では「紫陽花」と書きますが、
『万葉集』では万葉仮名で
「味狭藍」や「安治佐為」と書かれています。ですから日本では古くから「あじさい」と似た
発音で呼ばれていたようです。
 
 
漢字の「紫陽花」は、
平安時代から使われていますが、
これは唐の詩人・白楽天の「紫陽花」の漢詩に
由来しています。
何年植向仙壇上
早晩移栽到梵家
雖在人間人不識
与君名作紫陽花
何れの年に植えて仙壇上に向かう
早晩移し栽えて梵家に到る
人間に在りと雖も人識らず
君に名を与えて紫陽花と作す
いつの頃に仙人の世界で植えられたのだろう
いつそれがこの寺にまで植えられるようになったのだろう
人間の世界にありとは雖も、
誰もその名前も知らない
貴方に紫陽花と言う名前を上げましょう。
 
白楽天が杭州の長官だった頃、
郊外にある招賢寺という山寺を訪れると、
そこにひっそりと咲く見知らぬ花を見つけます。
そこでこの花を「紫陽花」と名付けました。
 
 
おそらく白居易が見た花は
「ライラック」だったようです。
それを平安中期の歌人・源順(みなもとの したごう)
日本原産の「ガクアジサイ」と勘違いして
この漢字をあてたことから広まったそうです。実際Chinaでは「八仙花」と書くようです。
 

紫陽花には別名がいっぱい!

紫陽花には多くの別名があります。
 
七変化(しちへんげ)
 
「七変化」という別名は、
紫陽花の花色が様々なことから
名付けられたものです。
 
 
花の色は初めは「緑」ですが、
次第に白や青、藍、紫、薄紅に変化するので、
「七変化」「八仙花」と呼んで、
日に日に変わる彩を楽しみました。
 
 
紫陽花は、土壌が「酸性」か「アルカリ性」かによって花色が変わります。
土壌に「酸性」の割合が多いと「青紫色」、
「アルカリ性」か「中性」であれば「赤色」
になる傾向があります。
日本の土壌は「酸性」の傾向が強いため、
「青系」の紫陽花が咲くことが多いです。
 
 
因みに、アジサイ科アジサイ属の1種で、
山中で沢によく見られる「ヤマアジサイ」に
「七変化」という品種があります。
 
八仙花(はっせんか)
 
前述の「七変化」でご紹介したように、
花色が変化することが由来です。
また「八仙花」が、前述の通り、
元々Chinaでの呼び名であったことから、
日本でも別名として呼ばれるように
なりました。
 
四片・四葩(よひら)
 
紫陽花の花びらのように見えるのは、
4枚の「萼」(がく)で、
その中心に小さな花が一つずつあります。
 
その「萼」が四片集まっていることから、
別名「四片」(よひら)と言います。
「花びら」のように見える萼が
四枚あることから、
別名「四葩」(よひら)と呼ぶそうです。
「葩」(ひら)とは「花びら」のことです。
 
なお俳句では「四葩」と書かれることが多く、
夏の季語として使われます。
 
手鞠花(てまりばな)
 
紫陽花の丸い鞠(まり)のような形から
「手鞠花」という別名が付けられました。
 
またぶりぐさ
室町時代の歌学書『言塵集』(ごんじんしゅう)には
紫陽花を「またぶりぐさ」と記しています。
これはその昔、地域によっては、紫陽花の葉を
現在のトイレットペーパーとして使っていた
ことが由来のようです。
 
オタクサ
 
紫陽花は昔から長崎で愛されていた花でした。
江戸後期に長崎出島にやって来たシーボルトは
欧州に紫陽花を持ち帰った際、
日本滞在中に恋に落ちた「お滝さん」という
女性の名前でヨーロッパに紹介したことが、「オタクサ(お滝さん)」という別名の由来です。
 

 
現在でも長崎では毎年5~6月に
(令和6年は5/18 [土]~5/26 [日]) が開催され、
長崎市内の様々場所で紫陽花が観賞出来ます。
 

www.nagasaki-press.com

 
額花(がくばな/がくのはな)
 
「額花」(がくばな/がくのはな)は、
日本原産である「ガクアジサイ」の別名です。紫陽花は元々、この「ガクアジサイ」を
品種改良して誕生しました。
 
「ガクアジサイ」は、
紫陽花の花のように毬状にならず、
粒程の小さな花の周囲を4片の萼が取り巻き、
額縁の様に見えることから
「額花」と呼ばれるようになりました。
 
 
「額花」は、清楚な青紫・紫・淡紅、
稀に白の花が平らに咲き、
古くから園芸用に栽培され、
落ち着いた雰囲気のものが多いため、
「茶花」としても好まれてきました。
 
 
本紫陽花(ほんあじさい)
 
園芸種として育てられた「ガクアジサイ」を
「本紫陽花」(ほんあじさい)と呼ぶことが
あります。
 

「紫陽花」は縁起が悪い花?

 
紫陽花はお寺に植えられ、仏様に供える
「仏花」にも多く使われることが多いことから、
「縁起の悪い花」というイメージがあります。花の色が変わるのことが
「心変わり」とみなされるといった理由で、
昔は嫌われていました。
 
「死」に通じる⁈
「四片」「四葩」(よひら)の別名を持つ紫陽花は、
「死(4)」を連想する花と言われています。
 
 
また紫陽花の名所と言うと、
お寺を思い浮かべるのではないかと思いますが、
それには様々な説があります。
 
 
まず、立地との関係があります。
古来、寺は修行の場であったので、
神聖な山に建てられる事が多く、
直射日光が当たり過ぎない斜面や、
水はけのよい土地は、
紫陽花が育つのに適した場所だったのです。
 
 
また紫陽花が咲く梅雨時は、
天候や気温が不安定なため、
医療技術が確立されていない時代は、
この時期、日本各地で流行病が伝染し、
多くの人が命を落としたと言われています。
流行病などで多くの死者が出た地域では、
亡くなった方への弔いの意味を込めて、
梅雨に咲く紫陽花の花を
お寺の境内に植えたのだと言います。
そのため紫陽花には、「死者に供える花」と
いうイメージが定着しました。
 
ただ現代では、亡くなる人も少なくなり、
手間暇かけなくても立派に育つ紫陽花は、
土や時期によって変化しながら咲き、
梅雨時期の鬱々とした気持ちを和ませてくれる
花と言うイメージに変わりました。
 
食べると危険⁈
 
紫陽花は有毒植物ですので、
たとえ料理などに添えられていても、
絶対に食べないで下さい。
紫陽花の葉を食べた人に、
嘔吐、顔の紅潮、めまいなどが起きたという
症例が報告されています。
 
心移り・心変わり
紫陽花には、
「七変化」「八仙花」という別名がある通り、
花の色がよく変わることから、
「嘘つき」「移り気」「無常」などといった
花言葉があります。
 
 
シーボルトはスパイ容疑から国外追放となり、
「おたくさ」のお滝さんと娘・お稲と
離れ離れになったことから
「悲恋」を連想させる花とも言われています。
 

「紫陽花」は縁起木

家族・団欒
 
紫陽花は、小さなお花がたくさん集まって
咲いているように見えることから
「家族」や「団欒」などの意味があります。
 
商売繁盛祈願
 
「紫陽花」(あじさい)の語源が
藍色の花が集まっている様子を意味する、
「あずさい(集づ藍)」であると言われています。この「あずさい(集づ藍)」がいつしか
「あづさい(集づ財)」と言い換えられ、
蓄財祈願の象徴と見立てられてきました。
 
 
今でも「商売繁盛」祈願として
軒に吊るしている地方もあるようです。
 
高嶺の花
紫陽花の色の移り変わりが
なかなか心を奪い切れない女性を想起させ、
「高嶺の花」や「神秘的」という花言葉が
あります。
 

あじさいまつり

 
紫陽花の平均開花日は、
札幌は7月18日、仙台は7月2日ですが、
東京・大阪・福岡などは6月7日で、
全国の紫陽花の名所では
「あじさいまつり」が始まってきます。
桜に比べて紫陽花は見頃の時期が長いので、
ずっと楽しめます。
 
 
九州

<長崎県五島市>
魚津ヶ崎あじさいまつり(6/2)

<福岡県糸島市>
白糸あじさい祭り (6/30)

<福岡県北九州市>
若松あじさい祭り

四国

<高知県香南市>
あじさいのいち  (6/3-18)

<愛媛県四国中央市>
新宮あじさい祭り (6/11-7/2)

中国

<山口県柳井市>
果子乃季 あじさい祭(6/21、23)

<山口県防府市>
東大寺別院阿弥陀寺あじさいまつり(6/1-30)

<広島県三原市>
三景園 花まつり(6/7-30)

関西

<和歌山県那智勝浦町>
紫陽花祭    (6/14)

<奈良県桜井市など>
大和三大観音 あぢさゐ回廊(5/25-7/7)

<京都府福知山市>
觀音寺 あじさいまつり  (6/23)

<京都府京都市 藤森神社あじさい園>
紫陽花まつり      (6/1-1か月)

<大阪府吹田市>
万博記念公園あじさい祭り(6/1-23)

<大阪府東大阪市なるかわの森>
あじさいまつり     (6/17-7/9)

<大阪府大阪市東住吉区長居公園>
あじさいフェア     (5/27-6/25)

東海

<三重県志摩市 大慈寺>
あじさい祭り      (6/8、9)

<三重県津市 かざはやの里
あじさいまつり     (6/1-7/14)

<岐阜県関市>
板取あじさいまつり   (6/22-7/7)

<愛知県一宮市>
尾西あじさいまつり   (6/15-16)

<愛知県西尾市>
三ヶ根山あじさいまつり (6/1-30)

<愛知県稲沢市>
稲沢あじさいまつり   (6/1-16)

<愛知県幸田町>
本光寺紫陽花まつり   (6/1-30)

<愛知県蒲郡市>
形原温泉あじさい祭り  (6/1-30)

<静岡県下田市>
伊豆下田温泉あじさい祭 (6/1-30)

北陸

<富山県射水市>
あじさい祭り in 太閤山ランド(6/14-30)

<新潟県田上町>
護摩堂山湯田上温泉あじさいまつり(6/10-7/9)

関東

<神奈川県小田原市>
小田原城あじさい花菖蒲まつり(6/1-16)

<神奈川県足柄上郡開成町>
開成町あじさいまつり  (6/8-16)

<東京都文京区>
文京あじさいまつり   (6/8-16)

<東京都台東区>
長國寺 いきいきあじさい祭(6/15-16)

<東京都府中市>
郷土の森 あじさいまつり (6/1-7/7)

<東京都日野市>
高幡不動尊あじさいまつり(6/1-30)

<東京都あきる野市>
秋川渓谷あじさいまつり (6/8-7/7)

<千葉県成田市>
宗吾霊堂 紫陽花まつり  (6/2-23)

<千葉県香取郡多古町>
ふるさと多古町あじさい祭り(6/8-16)

<埼玉県幸手市>
権現堂公園 あじさいまつり(6/1-23)

<群馬県渋川市>
小野池あじさい公園あじさいまつり(6/15-7/7)

<栃木県鹿沼市>
磯山神社あじさい祭り  (6/15-30)

<栃木県栃木市>
とちぎあじさいまつり  (6/14-30)

<茨城県水戸市>
水戸のあじさいまつり  (6/8-30)

<茨城県桜川市>
雨引山楽法寺 あじさい祭(6/10-7/20)

<茨城県下妻市>
大宝八幡宮 あじさい祭 (6/8-7/7)

東北

<宮城県柴田町>
しばた紫陽花まつり   (6/16-7/2)

<山形県山形市>
むらきざわ あじさい祭り (7/1-15)

<岩手県一関市>
みちのくあじさいまつり (6/25-7/25)