しゃもじ

 
しゃもじは杓子とも言います。
ご飯をよそうヘラも、汁をよそうオタマジャクシも、
水をくむ時の柄杓も、
ともに植物の瓢(ひさご)=瓢箪(ひょうたん)から出た言葉です。
 
しゃもじの中央の窪んだ所には神が宿るとされ、
御祈祷を受けたしゃもじで喉をなでたり、ご飯をよそって食べると、
咳が止む、風邪を引かない、
門口にかけておくと子供の夜泣きが収まるなど、
窪みに宿った神様の力を頼む風習もあります。
 
今日、ご飯用のしゃもじは、
「宮島さん」と呼ばれることもありますが、
元々は、江戸時代に弁天様が持つ琵琶の形をヒントに、
宮島の僧が考案したものだからです。
 
 
宮島杓子
  
 
寛政年間(1789~1801)に
僧誓真(せいしん)が弁財天の持つ琵琶の形からヒントを得て、
島民に作り方を教えたのが始まりと言われています。
「宮島杓子」は、栃、桜、桑等を木の目なりに割って使うために
飯に香りが移らず、杓子には飯粒が付着しにくく、
また熱い飯にも曲がらない優れた杓子として高く評価されています。
日清・日露戦争時には、
全国から召集された兵士が広島の宇品港から出征する際、
厳島神社に無事な帰還を祈願し、
「敵をめしとる」という言葉に掛けて杓子を奉納し、
故郷への土産物として持ち帰ったことから、
全国的に知られるようになりました。
 
 

f:id:linderabella:20200616092637j:plain