手拭い

 
手拭いの起源は諸説ありますが、
その原形は古くは奈良時代とも言われ、
手拭いが神仏の像や飾り付けなどの清掃に使われるのが一般的でした。
 
平安時代になると、
神具として神事に身に纏う装束として使われるようになりましたが、
布が貴重なものだったため、祭礼などを司る一部の身分の高い者しか、
手拭いを手にすることはありませんでした。
 

 
江戸時代に入ると綿花の栽培が盛んになり、
木綿の着物を作る際に出た端切れから、
生活必需品としての「手拭い」が生まれました。
 
「手拭」とはいうものの、
日常生活では、日除け、埃除けなど
頭の被り物として利用されることが多く、
ほっ被り、姉さん被り、盗人被り、ねじり鉢巻きなどの
被り方がありました。
勿論、入浴の時にも使われました。
江戸時代には縁起物の贈答品として配られたりもしました。
 

 
神事に使われてきた伝統を引くものとして、
恐れ多いものから顔を隠すという用途もあり、
手拭い被りで踊るお祭りもたくさん残っています。
 
「手拭い」は、江戸の粋なファッションアイテムとしても愛され、
持ち寄った手拭いのデザインを競い合う
「手拭合わせ」という品評会も開かれていた程です。
 
「お年賀タオル」は、
元々は江戸時代に当時の歌舞伎役者や大看板の落語家、お相撲さんが
御贔屓のお客様に新年のご挨拶として
自身を表す紋や柄の入った「手拭い」を配ったことが由来とされています。
 

 

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