お守り犬、犬張り子(いぬはりこ)

「犬張り子」(いぬはりこ) は、
江戸時代に作られた犬の立ち姿の張り子玩具のことで、
犬はお産が軽く、また多産であることにあやかって
古くから安産のお守り・お宮参りの祝いものとして、
広まっていきました。
 
また犬の子は病気をせずにスクスク育つことから、
「犬の子のように丈夫に元気に育つように」 との願いを込めて、
子供の枕元に置いて魔除けとし、その健やかな成長を願います。
 

 

法華寺のお守り犬

光明皇后が、加持祈祷した灰で作った犬の人形を授けたのが始まり。
この「お守り犬」は、
今でも「法華寺」の尼僧が護摩供養後の灰を用いて成形し、
胡粉や雲母粉で着色して絵付けするという古来のやり方を変えずに
真心を込めてひとつひとつが手作りされています。
 

犬張子

「犬張子」は、
「初宮参り」の時に使う子犬の形をした張子人形です。
「初宮参り」は、子供が誕生して約1ヶ月目に神社へ参拝する行事です。
 
「犬張り子」を用いるのは、
名古屋の「熱田神宮」が発祥と言われます。
犬の子は病気をせずにスクスク育つことから、
「犬の子のように丈夫に元気に育つように」 との願いを込めて、
「犬張り子」を用います。
犬張り子と一緒に、
「扇子」 「お金」 「でんでん太鼓」 を麻で結び、
子供を抱いた背中の羽織ヒモにぶら下げます。
  • 扇子(末広):末広がりに人生が開けるように
  • お金    :お金に不自由しないように
  • デンデン太鼓:元気に育つように、
           裏表の無い子どもに育つように
 
使用後の「犬張り子」は、
3歳の「七五三」の時に神社に奉納します。
3歳に育つまで、
犬張り子が子供の身代わりとなって災厄をかぶるので、
3歳を過ぎたら、必ず神社に奉納して下さい。
 

扇子(末広)

「末広」とは、出発点が狭くても、
末の方に移行するに従って広がるような様が、
だんだんと栄えていくことになぞらえて、
おめでたいものと結び付けたものです。
 
使用後の「扇子」は、普通のお札やお守りと同じように、
年末に神社で焼いてもらいます
(「七五三」まで待たなくても構いません)。
「七五三」まで保管して、
「犬張子」と一緒に奉納しても構いません。
 

お金

「お金」は、ポチ袋 に入れてぶら下げる地方と、
五円玉1 2枚を麻に直接通してぶらさ下げる地方があります。
五円玉 を12枚 使うのは、
「1年12ヶ月、お金に困らないように」との意味です。
参拝後のお金は縁起が良いので、子供の貯金の元銭にします。
 

デンデン太鼓

裏表がない、
素直な子供に育ちますようにとの意味があります。
太鼓の紐には麻が使われていることから、
麻のように
スクスクと育ちますようにとの願いも込められています。
 
デンデン太鼓の処分の仕方
「デンデン太鼓」は3歳で奉納せず、玩具として長く使います。
子供をあやすのに重宝します。
不要になった時点で、年末に神社で焼いてもらいます。
 
使用後の麻
扇子と同じく神社で焼いてもらいます。
上手く結び目を解ければ、そのまま保管して、
火の用心・家の改築・新築などのお札を
柱に縛るのに使ってもいいようです。
 

笊かぶり犬(ざるかぶりいぬ)

なぜわざわざ笊(ざる)を被っているのかと言うと、
竹の下に犬で
「笑」という漢字になるという洒落から来ています。
よく笑い元気な子に育つようにとの願いを込めています。
 
他にも、笊は風通しが良いので悪気が滞らないとか、
悪い虫を笊ですくい取るとか、
この犬の鼻にこよりを通して天井から吊るしておくと、
子供の鼻詰まりが治るという言い伝えがあるなど、
とにかく元気で育って欲しいという願いが込められています。
 

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