縁起のいい赤い実「南天」(なんてん)

 
「南天」(なんてん)は、
濃い緑の葉に赤い実をつける常緑低木で、
冬でも濃い緑が茂っている様子や赤い実をつけること、
また「難転(難を転じて福となす)」に通じることから
「縁起木」とされてきました。
 
現在でも、
縁起物や厄除けとして「お正月飾り」に使われたり、
松や竹とともに「お正月の花」として玄関や床の間に飾られたりします。
 
 

南天の基本情報

  • 別 名  :南天燭
  • 科・属  :メギ科ナンテン属
  • 性質・分類:常緑低木
  • 原産地  :日本、China
  • 出回り期 :10月~5月(※実の出回り時期)
  • 開花時期 :  6月~7月(花持ち期間は3~5日程度)
  • 用 途  :庭木、盆栽、アレンジメント、生け花
 
「南天」は日本やChinaが原産の常緑低木で、
自生している南天は1~3m程まで生長します。
夏に咲く白い花は、徐々に赤色になります。
冬になると真っ赤な果実を実らせ、
生花店でも良く見られるようになります。
実は鳥も大好物で、庭木にすると鳥が良く食べに来ます。
自生もしている通り、育てやすく初心者にもおすすめの植物です。
 
 

名前の由来

Chinaでは古来、
「南天燭」「南天竹」「南天竺」などの名前で呼ばれており、
日本名の「南天」は、このChinaでの名称を簡略化したものです。
 
「南天燭」の「燭」は、
南天の実が「燭(ともし火)」のように赤く、
「南天竹」の「竹」は株立ちが竹に似ているところから、
このように呼ばれるようになったのだそうです。
 
因みに南天の英語名は、「Sacred bamboo」「Heavenly bamboo」。
南天に神秘的なイメージがあるのでしょうか?
 
 

歴史

「南天」は、平安時代に「観賞用」「薬用」として
Chinaから伝来しました。
藤原定家は『明月記』の中で、
「寛喜2(1230)年、中宮権大夫(ちゅうぐうごんんのだいふ)が前栽に植える 」と
記しています。
 
「南天」の果実、葉、茎、根は、
「生薬」として古くから利用されてきました。
特に「南天の果実」を乾燥させた「南天実」には、
咳や喉荒れに効果があるとされてきました。
 
 

南天は縁起が良い植物

「南天」は「難転」と当て字で表記も出来るため、
昔から縁起の良い植物とされてきました。
「災難や難関を転じる」という意味にもなる「南天」。
「福寿草」と合わせると「難を転じて福となす」という意味になります。
とても縁起が良いかけ合わせになるので、セットで飾る方も事が多いです。
 

お赤飯

お赤飯に「南天の葉」を添える習わしは、
単に彩りや縁起物としてだけではなく、
葉に解毒作用や殺菌・防腐作用があることから取り入れられた、
先人の知恵です。
 

戦国時代

戦国時代には、武士の鎧櫃(よろいびつ)に南天の葉を収め、
出陣の際、枝を床に刺して勝利を祈りました。
また、正月の掛け軸には、
水仙と南天を描いた「天仙図」が縁起物として好まれたようです。
 

江戸時代

江戸時代に入ると、
「南天」はますます「縁起木」として尊ばれるようになります。
江戸の百科事典『和漢三才図会』(わかんさんさいずえ)
「南天燭」の項には、
「これを庭に植えて火災を防ぐ。大へん効献がある。」
というような記述があります。
そのように、どこの家でも「火災除け」として、
また「不浄を払う」ため玄関やお手洗いに、
そして「鬼門」と呼ばれる方角に「方位除け」として、
「南天」を植えました。
特に、表鬼門(北東の方角)には「赤南天」、
裏鬼門(南西の方角)には「白南天」がなお良しとされています。
 
昔の家のお手洗いは家の外にあるのが普通で、
そのお手洗いの周りには必ずと言っていいほど
「南天」の木が植えられていました。
これは「南天手水」と称し、
お手洗いに水がない時に南天の葉で手を清めるためです。
また、お年寄りがお手洗いで転んだり、倒れたりすることが多かったため、
「南天の木につかまる」(難を転ずる)ことが目的でした。
つまり、「不浄除け」と「生活の知恵」の両方が備わっていたのです。
 

南天の色別の花言葉

南天の全般的な花言葉
 「私の愛は増すばかり」「機知に富む」「福をなす」「よい家庭」
「白い花」が持つ南天の花言葉
 「深すぎる愛」「機知に富む」「募る愛」
「赤い実」が持つ南天の花言葉
 「幸せ」「私の愛は増すばかり」「よき家庭」
 
 

郡上八幡南天まつり

日本一の出荷量を誇る岐阜県郡上市八幡町では、
毎年12月中旬には、「郡上八幡南天まつり」が盛大に行われています。
郡上市は寒暖の差が大きく、戦後から良質な南天の自生地として知られています。
発色が良く、1房あたりの実の数が多く、落果しにくいことが特徴で、
市場からの評価が高いものです。
 
 

「南天」・「万両」・「千両」

ところで、この時期に小さな赤い実を付ける常緑木には、
「南天」の他にも、
「万両」(まんりょう)、「千両」(せんりょう)があります。
三つとも似たような色と形で、
いずれもお正月などの慶事の飾り物として使われることが多いのですが、
微妙に違いがあります。
 

南天を見分けるポイント

メギ科ナンテン属に属する常緑性の木本植物で、
樹高2~3mの低木。
果実は直径4~7mm程度の赤色で、葡萄の房状につきます。
葉は互生で、3枚ずつ葉をつける複葉になっています。
 

万両を見分けるポイント

サクラソウ科ヤブコウジ属に属する常緑性の木本植物で、
樹高0.5~1mの低木。
果実は直径6~8mmの赤色で、
葉の下にサクランボ状に垂れ下がって付きます。
葉は互生で、葉の縁が波打った小さめの単葉です。
 

千両を見分けるポイント

センリョウ科センリョウ属に属する常緑性の木本植物で、
樹高0.5~0.8mの低木。
果実は直径5~7mmの赤色で、葉の上に固まって付きます。
葉は対生で、葉の縁が鋸状になった大きめの単葉です。
 
  • 南天:木の先端にまとまって赤い実が付く
  • 万両:赤い実が葉の下に垂れ下がって付く
  • 千両:赤い実が葉の上に固まって付く

 

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