初愛宕(はつあたご)

1月24日は1年で最初の愛宕の縁日、「初愛宕」です。
「火防」(ひぶせ)の神様として知られる愛宕神は、
お地蔵様が変身した姿という訳で、
1月24日の「初地蔵」は「初愛宕」でもあります。
 
全国に約900社を数える愛宕神社の本社として、
京都市最高峰の霊山である愛宕山上に鎮座する愛宕神社
古くより火伏・防火に霊験のある神社として知られ、
「初愛宕」は特に参詣人が多く、
神社から「火廼要慎」(ひのようじん)と書かれたお護符と
(しきみ)の枝をいただいて帰ります。
 
 
「火迺要慎」(ひのようじん)は、
防火、火伏に霊験あらたかな愛宕さんの代名詞と言われる御札です。
 
「火、すなわち慎みを要する」
火は私達に有難い恵みを与えてくれる反面、
全てを焼き尽くし灰にしてしまう恐ろしい存在でもあります。
火の中に特別な神威を感じ、火に対する畏敬の念を忘れずに生活してきた
先人達の教え、戒めの言葉でもあります。
この「火迺要慎」(ひのようじん)と記された愛宕神社の火伏札は、
京の町家に今でも貼られています。
 
 
一方、「樒」は、各家庭において、朝一番に竃の火を燃やす時、
愛宕さんで受けてきた樒の葉1枚を火中に投じて、
その日の「家内安全」と「火迺要慎」を祈念した習慣がありました。
今日では台所の変化に伴い、御札と併せて祀る様になりました。
 
 
「初愛宕」は季語にもなっていますが、
その京都の愛宕神社も
今では毎月1日、15日、23日を縁日としていますが、
「初愛宕」は、神仏分離で途絶えてしまっています。
 
逆にお寺では、今も健在で、
「伊勢の愛宕」として知られる
愛宕山龍泉寺(三重県松阪市愛宕山1-4)では
初愛宕大祭 愛宕市」が開かれ、
境内では山伏姿の先達(せんだつ)によって
火防、勝運、良縁などを祈願する護摩が焚かれ、
日用品、農機具、木製品などが売られる市が立ちます。
 
同じ三重県では、 愛宕神社(三重県名張市南町)では
1月24日に「初愛宕の神事」が行なわれます。
三重県内には24日の縁日と「初愛宕」の伝統が残されているようです。