神棚(かみだな)

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「神棚」は神様を祀るお宮とそれを置くための棚です。
「仏壇」は本尊やご先祖を祀るのに対し、
「神棚」では日本古来の神々を祀ります。
 
 

神棚とは

昔から日本人は、
生活に欠かすことの出来ない大切な場所に
神様をお祀りしてきました。
家の中でお祀りするために設けられたのが「神棚」です。
棚にお祀りすることは、
神聖で尊いものを他から区別するという意味があります。
 
家庭の和は、
一家の者が心を合わせて
「神棚」にお祀りした神様を敬い、
祖先を尊び、親を慕い、子を愛することによって育まれます。
神々や祖先の「お陰」を忘れた家庭に
「円満」と「幸福」はあり得ません。
 
 

神棚の歴史

「神棚」の起源は、『古事記』に登場するとされています。
天照大御神(あまてらすおおみかみ)
父であり、日本を生んだと言われる神様
伊耶那岐命(いざなぎのみこと)から賜った神聖な宝物を、
棚にお祀りし崇めたという神話です。
 
庶民にまで普及したのは中世。
更に、現在のようにここの家でお祀りされるようになったのは
江戸時代と考えられています。
中世以降、伊勢の神宮に対する信仰が全国的に広がり、
伊勢神宮から配布される大麻(お札)を置いた棚だとされています。
江戸時代には、庶民の間でも、
ご利益を求めての伊勢参詣「お蔭参り」が一大ブームとなりました。
 
伊勢には、
「お蔭参り」に全国から訪れた参詣者のガイドを務める
神宮の布教グループ「御師」(おし)がいて、
参詣者に神宮のお札を配りました。
そのお札を納めるために
御師(おし)が神棚を発案したのではないかと言われています。
 
当初は大麻ごと取り換えると、
家内の穢れを除き、
清らかな空間を作り出すことが出来ると考えられていました。
やがて、そこに神様がいると意識されるようになり、
今日のような「宮形」(みやがた)を置く神棚が生まれました。
 

 
土間や台所に設置されるものは「縁起棚」と言って、
生活に密着した神様(火の神など)を祀ります。
かつては部屋毎に象徴的な意味があり、祀られる神様も違いました。
 
 

神棚を祀るのに適した「場所」「向き」

神棚を祀る際には、
家の中でも清らかで、親しみやすい場所に祀ります。
毎日拝んだり、お供えをしたりしやすい場所を選びます。
 
「高さ」は、
目の高さより高い位置に設置すると言われています。
また下をくぐり抜けないような場所が理想です。
 
「方角」は、神棚の正面が
「南」または「東」を向くように置くのがよいとされています。
 
神棚と仏壇は同じ部屋に設置しても大丈夫ですが、
拝礼する時にどちらかにお尻を向けてしまうため、
向かい合わせにすることは好ましくありません。
家の造りによっては難しい場合はこだわる必要はありません。
何よりも神様を大切に想う気持ちが一番大切です。
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