天之菩卑能命(あめのほひのみこと)

天照大御神と須佐之男命の「誓約」(うけい)で誕生した五皇子の一柱。
葦原中国を平定する際に、
最初に使者に選ばれ、高天原から派遣されたものの、
大国主神を説得するうちに、逆に心服して地上に住み着き、
3年間高天原に戻りませんでした。
 
 

どんな神様

誓約(うけい)
天照大御神と須佐之男命の「誓約」で、「宗像三女神」が生まれた後、
次に須佐之男命が天照大御神の勾玉の髪飾りを噛み砕いて吹き出すと、
五柱の男神が生まれます。
この時、右の玉飾りから生まれたのが
天之菩卑能命(あめのほひのみこと)です。
物実(ものざね)の持ち主である天照大御神の第二子とされ、
天忍穂耳命の弟神に当たります。
 
 
葦原中国平定のために出雲の大国主神の元に遣わされる
『古事記』の「国譲り」において、
高天原の天照大御神により、
大国主神に葦原中国の譲渡を迫る、第一番目の使者として登場します。
地上に降った天之菩卑能命は、
大国主神を説得するうちに「あなたの言うことも分かる」と
逆にすっかり心服してしまい、
自らの使命を忘れて地上に住み、
3年経っても高天原には何の報告もしなかったそうです。
そのため、次に天之菩卑能命(あめのほひのかみ)の御子神・
大背飯三熊大人(おほそびのみくまのうし)が遣わされましたが、
この神も父神同様、そのまま出雲に留まりました。
 
但し、『出雲国造神賀詞』では異なる記述になっています。
天之菩卑能命は地上の悪神を鎮めるために地上に遣わされ、
地上の様子を天照大神にきちんと報告し、
子の建比良鳥命(たけひらとりのみこと)及び経津主神(ふつぬしのかみ)とともに
地上を平定したとされています。
もっとも『出雲国造神賀詞』は
天之菩卑能命の子孫である出雲国造が書いたものであるので、
そこは割り引いたほうがいいのかもしれませんね。
 
 
出雲国の有力豪族の出雲氏の祖神
後に「国譲り」が成功すると、
「国譲り」の条件として建てられた、
大国主大神を祀るための天まで届くような立派な宮殿
「天日隅宮」(あめのひすみのみや)の祭主となったそうです。
「天日隅宮」とは、今で言う「出雲大社」のことです。
天之菩卑能命は、出雲系の神様になったんですね。
 
また、大国主神に仕えるよう命令され、
子の建比良鳥命(たけひらとりのみこと)
出雲国の有力豪族の出雲氏の祖神となったとされています。
出雲氏は古代に出雲東部を本拠地とした一族で、
大和朝廷に服属してからは「出雲臣」(いずものおみ)と呼ばれ、
代々、「出雲国造」(いずものくにのみやつこ)を務めました。
 
更に子孫には、相撲の神様・野見宿禰(のみのすくね)
そのまた子孫には学問の神様の菅原道真がいます。
 
 

別称

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名前の「菩」(ホ)は「秀」「穂」のことで、
「卑」(ヒ)は火を意味し、
「生命力が火のように燃え盛る秀でた稲穂」という意味の神名です。
  • 天穂日命(日本書紀)
  • 天菩比神
  • 天穂比命
  • 依野城命
  • 赤衾伊努大住日子佐別命
  • 熊野大隅命
  • 伊毘志都幣命
  • 神活須毘命
  • 天之夫比命
  • 野城大神
 
 

神格

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  • 稲穂の神
  • 農業神
  • 養蚕の神
  • 木綿の神
  • 産業の神
 
 

御利益

  • 学問上達
  • 受験合格
  • 縁結び
  • 農業・養蚕守護
  • 国土開発
  • 産業振興
  • 商売繁盛
  • 金運招福  など
 

祀られている神社

  • 能義神社   (島根県安来市)
  • 天穂日命神社 (鳥取市福井(前方後円墳))
  • 大江神社   (鳥取県八頭郡八頭町)
  • 芦屋神社   (兵庫県芦屋市)
  • 道明寺天満宮 (大阪府藤井寺市)
  • 山阪神社   (大阪市東住吉区)
  • 天穂日命神社 (京都府京都市石田)
  • 馬見岡綿向神社(滋賀県蒲生郡日野町)
  • 出雲大社   境内-氏社   (島根県出雲市大社町)
  • 太宰府天満宮 境内-天穂日命社(福岡県太宰府市)
  • 加茂神社   境内-天神社  (愛媛県今治市菊間町)
 

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