天手力男命(あめのたぢからおのみこと)

天石屋戸に隠る天照大御神の御手を取って引き出し、
外の世界に引きずり出した神様。
 
 

どんな神様

 
天岩戸神話で祝詞を奏上した神
「天上界で最も手の力が強い男」という名前を持つ
天手力男命は、
「天岩戸」の際、岩戸の脇に控え、
天照大御神が岩戸から顔を覗かせた時に、
天岩戸の扉を開けて天照大御神の手を引いて導き出し、
この世に太陽の光を復活させました。
 
 
天孫降臨神話
「天孫降臨」に際しては、「五伴緒」の神々と共に
三種の神器をお守りするために、天手力男命、
思金神(おもいかねのかみ)、天石門別神(あまのいわとわけのかみ)の三柱が
邇邇芸命に従って天降りしました。
 
 
立山や戸隠の山岳信仰とも関係している神様
『古事記』によると、
「天孫降臨」の際に諸神と共に地上に降りた天手力男命は、
佐那那県(さなながた)に住んだと言われます。
 
また、天手力男命を祀っている「戸隠神社」には、
次のような伝承があります。
天岩戸の扉を開けた天手力男命は
天照大御神が二度と岩戸の中に閉じこもらないよう、
その扉を「エイっ」と放り投げると、
ものすごい地響きをたてて地上に落下して戸隠山になったと言われます。
それで「ここが私の住むところである」と決め、
「天孫降臨」に随伴して九州に降りると、
紀伊(和歌山県)を経て戸隠にやってきて定住してとされます。
 
また天手力男命は、
富山県の立山信仰の神様としても祀られています。
江戸時代の図書百科事典の『和漢三才図会』によると、
立山山頂に鎮座する峰の本社の本尊は
阿弥陀如来と不動明王であるとし、
そのまたの姿(垂迹したかたち)はそれぞれ
伊邪那美命と天手力男命であると述べられています。
 
 
力強くて雄壮な神楽の主役として人気
剛力のイメージのある天手力男命は、昔から庶民に人気があり、
日本の各地に伝わる神楽の中にこの神様の姿を見ることが出来ます。
例えば、全国的にも有名な宮崎県高千穂町の夜神楽には、
アメノタヂカラオ命が主役となって舞う
『戸取舞』(ととりのまい)という演目があり、
神話に基づいた力感的で雄壮な舞に人気があります。
 
 

別称

  • 天手力男命(古事記)
  • 天手力雄命(日本書紀)
  • 手力雄命
  • 多久豆魂命(おおくずたまのみこと、たくづたまのみこと)
  • 大国栖玉命(おおくずたまのみこと)
  • 大刀辛雄命(たちからおのみこと)
 
 

神格

  • 力の神
  • 技芸の神
 

御利益

  • 技芸上達
  • スポーツ上達
  • 五穀豊穣
  • 開運招福
  • 災難・厄除け
 
 

祀られている神社

  • 戸隠神社   (長野県長野市戸隠)
  • 湯島天満宮  (東京都文京区湯島)
  • 手力雄神社  (岐阜県各務原市)
  • 佐那神社   (三重県多気郡多気町)
  • 長谷山口坐神社(奈良県桜井市)
  • 天津石門別神社(奈良県高市郡高取町)
  • 安賀多神社  (宮崎県延岡市)
 

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