(はやあきつひこのかみ・はやあきつひめのかみ)
『古事記』では、伊邪那岐命・伊邪那美命の「神生み」によって生まれた
9番目と10番目に生まれた男女一対の水に関係のある神様です。
「水戸神」(みなとのかみ)はその総称です。
また「大祓詞」(おおはらえのことば)に登場する
「祓戸大神」(はらえどのおおかみ)の一柱でもあります。
どんな神様?
川の神
速秋津比古神(はやあきつひこのかみ)・速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)は、
『古事記』には「水戸の神」(みなとのかみ)と記されている男女神です。
「水戸」(みなと)とは、川が海に流れ込む河口のことで、
河・海を分担するその境界を表わしていると考えられていています。
港を司る夫婦神
名前の「ハヤ」の部分は「速い水」、
「アキ」は「開けた地形」、
「ツ」は「土地が海に突き出している地形」を表していると
言われていて、
名前そのものが「河口」を意味していています。
古代の日本においての「河口」は
船の停泊地にもなっていた為、
「港」として珍重されていたと言われています。
ご祭神としてお祀りしている神社の名前の多くには、
「湊」(みなと)が付いています。
祓戸大神(はらえどのおおかみ)
速秋津比売命は、
『延喜式』の大祓詞では「速開津比売」と表記され、
「祓戸四神(祓戸大神 )」の一柱とされています。
その四神とは、
「瀬織津比売」(せおりつひめ)「速開津比売」(はやあきつひめ)
「気吹戸主」 (いぶきどぬし)「速佐須良比売」(はやさすらひめ)です。
川上には難瀬織津比売 という人の穢れを祓い禊を司る女神がいて、
罪や穢を流します。
それを速開津比売(はやあきつひめ)が河口や海の底で待ち構えて、
穢れや罪を丸ごと飲み込み、流し去ってくれるのです。
「水に流す」という言葉にあるように、
川は一つの方向に流れていきます。
海の波のように寄せては返すことはありません。
人々の災厄や悩みを流し去るありがたい存在として
二柱は尊崇されています。
御子神
速秋津比古神(はやあきつひこのかみ)と速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)の
二柱の神は「河」と「海」を分担して、8柱の水に関する神を生みました。
沫那藝神 ・沫那美神 (海の泡を表す神)頬那藝神 ・頬那美神 (水面を司る神)天之水分神 ・国之水分神 (農業用水を司る水源の神)天之久比奢母智神 ・国之久比奢母智神 (水を汲み上げる神)
律令時代の政府の機関である神祇官で、
一年の特に稲の豊穣を祈る国家祭祀「祈年祭 」の祭祀対象として、
「祝詞式」の「祈年祭祝詞」に出てくる神様で、
日本古来からの国の主力産業である「稲作」に欠かせない
水を司る神様です。
別称
- 速秋津日子神・速秋津比売神・・・古事記
- 水戸神(みなとのかみ) ・・・古事記
- 速秋津日命 ・・・日本書紀
ご利益
- 厄除開運
- 航海安全
- 海上安全
神格
- 川の神
- 水戸(港)の神
- 河口の神
- 祓いの神
関連神
- 父母神:伊邪那岐命、伊邪那美命
- 御子神(河口の神から、港の安全を司る神と農業用水を司る神が生まれた)
- 沫那藝神 ・沫那美神 (海の泡を表す神)
- 頬那藝神 ・頬那美神 (水面を司る神)
- 天之水分神 ・国之水分神 (農業用水を司る水源の神)
- 天之久比奢母智神・国之久比奢母智神(水を汲み上げる神)