闇淤加美神・闇御津羽神

十拳剣の柄からの血により生成された神々(くらおかみのかみ・くらみつはのかみ)
妻・伊邪那美命の死を嘆き悲しんだ伊邪那岐命が
死因の原因となった火之迦具土神ひのかぐつちのかみを斬った刀の柄に集まった血が
手の股から漏れ出て成った二柱の神で、
対をなして雨を司っている竜神とされています。
 
 

どんな神様

剣から流れ落ちた血から生まれた1対の神様

『古事記』によると、
伊邪那岐命が火之迦具土神ひのかぐつちのかみを斬り殺した際に
斬った御刀の柄に溜まった血が、指の間から漏れ出て生まれたのが、
闇淤加美神くらおかみのかみ」とともに「闇御津羽神くらみつはのかみ」です。
『日本書紀』では、軻遇突智命を斬って生じた三柱の神のうちの一柱が
「高龗神」(たかおかみのかみ)であるとしています。
 

谷の急流を表す龍の化身。龍は荒れ狂う、流れの激しい川の象徴

神名の「闇」(くら)は暗い谷間を、
「淤加美」(おかみ)は「靇」とも書く「龍」の古語で、
「御津羽」(みつは)は「水早」で水の出始めを表し、
合わせて「谷川の龍神」を意味します。
 
日本では、天竜川や九頭竜川と言った急流で知られる河川には
「龍」の字が当てられています。
古代の人々にとって川は恵みをもたらす水源でもありますが、
洪水などの水害を引き起こす
恐ろしい龍の化身であると考えられてきました。
この1対の神様は、水を操り、田畑を潤し、
豊かな実りをもたらしてくれる神として、崇められてきたのです。
 
『豊後国風土記』には、
この地を訪れた天皇のために、従者が飲み水を泉から汲もうとすると、
そこに蛇靇がいたため、天皇は水を汲むのを止めさせたと書かれています。
つまり、泉に住む竜神が「淤加美(靇)」(おかみ)として語られています。
 
祈雨・止雨の雨師神
龍はまた、水や雨を司る神として崇敬されています。
そのため、祈雨きう止雨しう、灌漑の神、井戸の神として信仰されています。
奈良県吉野郡東吉野村にある「丹生川上神社にうかわかみじんじゃ」は、。
奈良時代から祈止雨の霊験著しい雨師神として朝廷から重んじられ、
763年より応仁の乱の頃までに雨乞い、雨止めの奉幣祈願が行われました。
6月1日には例祭で太古踊りが行われていますが、
これは祈雨きう止雨しうの祈願で奉納された
当時の舞楽が起源であるとされています。
 
 

別名

  • 龗神・淤加美神・意加美神
  • 高龗神
 
 

神格

  • 水の神様
  • 龍神
  • 谷を流れる川を象徴した神様
 
 

ご利益(神徳)

  • 雨乞い(祈雨・止雨)
  • 農水安全
  • 治水
  • 商売繫盛
  • 縁結び
 
 

闇淤加美神・闇御津羽神をお祀りする神社