泣沢女神

(なきさわめのかみ)
「泣沢女神」(なきさわめのかみ)は、
火の神・火之迦具土神ひのかぐつちのかみを生んで死んだ伊邪那美命の死を悲しむ
伊邪那岐命の涙から生まれた神様です。
 
 

どんな神様?

 

水の神、延命の神

火の神・火之迦具土神ひのかぐつちのかみを産んだことによる火傷によって、
伊邪那美命が終に神避かむさりになりました。
 
伊邪那岐命は
「愛しい私の妻を、
 ただ一人の子に代えようとは思いもしなかった」と言って、
伊邪那美命の枕元に腹這いになって泣き悲しんだ時に、
その涙から、「泣沢女神」(なきさわめのかみ)は生まれました。
 
「沢」は「多(沢)」のことで、水が多く流れる出る意味で、
泉や井戸、胡沼などの水の湧き出る場所を指します。
そこから「井戸神」として信仰され、
生命力の源である水の神として新生児を守護する神であり、
生命長久の神ともされています。
 
江戸期の国学者・本居宣長は『古事記伝』にて「水神」「人命を祈る神」、
平田篤胤は「命乞いの神」と称するなど、
水の神、延命の神として古代より信仰を集めています。
 
 

泣き女

昔の日本では、
葬儀の時に泣く儀式があり、泣き専門の女性がいたそうですが、
「泣沢女神」はその泣き女の役割の神格化とも考えられています。
その役目は、死者の霊魂を慰撫するものとされていますが、
古くは招魂(死者の霊魂を招く)呪術を行ったものとも考えられています。
 
 

別名

  • 哭沢女命
  • 啼沢女命
 

神格

  • 水の神様
  • 降雨の神様
  • 井戸の神様
  • 出産
  • 延命長寿
  • 新生児守護
 

ご利益(神徳)

  • 安産
  • 新生児守護
  • 子育て
 

お祀りする神社

  • 畝尾都多本神社(奈良県橿原市)
    [通称-哭沢神社:ナキサワメを水神として祀っています]
  • 藤並神社   (和歌山県有田川町)
  • 日吉神社   (滋賀県高島市)
  • 伊豆山神社  (秋田県大仙市)
  • 北桑名総社  (三重県桑名市)

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