大綿津見神

(おおわたつみのかみ)
「大綿津見神」(おおわたつみのかみ)は、
『古事記』では、伊邪那岐命・伊邪那美命の「神生み」で
8番目に生まれた「海の神」です。
 
 

どんな神様?

 

海を司る神

『古事記』では、
伊邪那岐命・伊邪那美命の「神生み」によって生まれた神です。
名前の「わた」は海、「つみ」は司るという意味があり、
「海を司る」という意味を持ちます。
魚を始め、様々な海の生物を支配する「海神」とも言われます。
「海神」の信仰は、海人(あま)や船乗りの間で古くからあります。
海上の安全や豊漁を願い、漁業神や航海神、船霊といった信仰です。
 
『日本書紀』では、「綿津見」の正体を「龍」としているように、
「龍」と同一視され、その宮殿はいわゆる「竜宮城」で、
民話などでも広く親しまれる存在となりました。
 
 

海幸彦・山幸彦神話

大綿津見神が登場する最も有名な神話は、
海幸彦・山幸彦神話」でしょう。
 
海幸彦・山幸彦神話
兄の海幸彦と弟の山幸彦で、
海幸は海で漁をし、山幸は山で猟をして暮らしていました。
ある時、海幸彦が道具を取り換えてみようと言いました。
海幸彦は容易に承知しなかったのですが、
山幸彦があまりに熱心に頼むので、遂に許しました。
 
しかし、海幸彦も山幸彦も何の獲物も得ることが出来なかっただけでなく、山幸彦は兄の大切な釣り針を海の中に失ってしまいました。
山幸彦は兄に侘びて、自分の剣を潰して千本の針を作りましたが、それでも許してもらえませんでした。
 
山幸彦が途方に暮れていたところ、
そこへ塩椎の神(しおつちのかみ)が来て訳を聞き、
海神・綿津見神の国に行くことを教えてくれました。
 
山幸彦は綿津見神の宮に辿り着き、
そこで美しい豊玉毘売に出会い、結婚。
夢のような3年を過ごしました。
ある時、山幸彦は釣り針のことを思い出して溜息をつきました。
訳を聞いた豊玉毘売はすぐ魚を集めて、釣り針を探し出してくれたので、山幸彦はそれを持って帰国し、無事に釣り針を兄に返しました。
 
後に兄と対立した時に、海神にいただいた
「塩盈珠」(しおみつたま)と「塩乾珠」(しおふるたま)で、
兄を降伏させることが出来ました。
 
 

別称

  • 大綿津見神(おおわたつみのかみ)・・・古事記
  • 綿津見大神(わたつみのおおかみ)・・・古事記
  • 少童命  (わたつみのみこと) ・・・日本書紀
  • 海神   (わたつみ)     ・・・古事記・日本書紀
  • 豊玉彦  (よたまひこ)    ・・・日本書紀
 
 

ご利益

  • 航海安全
  • 豊漁
  • 家内安全
  • 病気平癒
  • 学業成就
  • 安産
 
 

神格

  • 海の神
 
 

関連神

  • 父母神:伊邪那岐命、伊邪那美命
  • 御子神
    • 豊玉毘売命とよたまひめのみこと・・・火遠理命の后、鵜葺草葺不合命の母
    • 玉依毘売命たまよりひめのみこと・・・鵜葺草葺不合命の后、神武天皇の母
 
 

大綿津見神をお祀りする神社

 
  • 神威神社 (北海後志支庁道積丹郡積丹町来岸町)
  • 日高見神社(宮城県石巻市)
  • 渡海神社 (千葉県銚子市)
  • 海神社  (兵庫県豊岡市)
  • 沼名神社 (広島県福山市鞆町後地)
  • 志賀海神社(福岡県志賀島)
  • 飯倉神社・東宮(鹿児島県南九州市)
  • 全国各地の綿津見神社

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