志那都比古神

(しなつひこのかみ)
『古事記』では、伊邪那岐命・伊邪那美命の「神生み」によって生まれた
11番目に生まれた「風」を司る神様です。
 
 

どんな神様?

 

風を司る神

伊邪那岐命が息を吸い、
辺り一面に立ち込めた霧を吹き払おうとした時、
その息から生まれ出た神が、風の神「志那都比古神しなつひこのかみ」です。
 
神名の「しな」とは「息が長い」という意味です。
古代人は、風は「神の息」で起こると信じられていて、
風は恵みをもたらすこともあれば、
風は時に台風などの暴風で大きな被害をもたらします。
そこで、農業を守り暴風を防ぐために、
風の神が祀られるようになったのです。
更には暴風で外敵から日本を守るという神格が加わったようです。
 

神風

鎌倉時代、元寇の際に、
内宮の末社「風神社」と外宮の末社「風社」で祈祷を行った。
その結果、神風が吹き荒れ、
元の船団は壊滅し退却を余儀なくされました。
奇跡的に勝利を得たのは、
「志那都比古神」(しなつひこのかみ)のお陰だと言われ、
以降、国家鎮護の神様としても祀られるようになります。
 
因みに、「元寇」の時だけでなく、
江戸時代末期には、風日祈宮と風宮で「攘夷」の祈願が行われ、
「神風」は吹かなかったものの、列強の植民地にならずに済みました。
 

風邪の神

「風」と同音である「風邪」を治す神様としても知られています。
 

日本書紀の記述

伊弉諾尊と伊弉冉尊が大八洲国を生んだ後、最初に生まれた神です。
伊弉諾尊は
「我々が生んだ国にはまだ朝霧しかなく、朝霧の薫りに満ちている。」
言って、その朝霧を吹き飛ばそうとしました。
その気(息)が神となり、その名は「級長戸邊命」(しなとべのみこと)
またの名を「級長津彦命」(しなつひこのみこと)という風の神です。
 
 

別名

  • 志那都比古神(しなつひこのかみ) ・・・古事記
  • 級長戸辺命 (しなとべのみこと) ・・・日本書紀
  • 級長津彦命 (しなつひこのみこと)・・・日本書紀
 
 

神格

  • 風の神
  • 風邪の神
 
 

関連神

  • 父母神:伊邪那岐命、伊邪那美命
 
 

ご利益

  • 五穀豊穣
  • 国家安泰
  • 開運招福
  • 運気上昇
  • 漁業・航海守護・航海安全
  • 長寿
  • 病気平癒
  • 風邪平癒
 
 

志那都比古神をお祀りする神社

  • 伊勢神宮・内宮の別宮に風日祈宮(かざひのみのみや)
  • 伊勢神宮・外宮の別宮に風宮
  • 龍田大社(奈良県三郷町)
  • 科長神社(大阪府)

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