古事記

古事記 
 
『古事記』は、日本に現存する最古の書物(作品)です。
序文と上・中・下の3巻から成り、
世界の始まりから神様の出現、皇位の継承まで、
日本の成り立ちがドラマチックに描かれています。
 
 

概要


 

 
『古事記』は現存する日本最古の歴史書です。
和銅5(712)年、稗田阿礼が誦習(しょうしゅう)していた
様々の伝承や歴代天皇の系譜を書き取り、
太安万侶が編纂しました。
 
序文と上・中・下巻の3巻から成っていて、
神代から推古天皇までを紀伝体で記述されています。
「序文」には『古事記』の成立過程が記されています。
「上巻」は神々の世界が描かれています。
具体的には、「天地開闢」から始まって「天孫降臨」に至るまでが
叙述されています。
「中巻」は初代神武天皇から第15代応神天皇まで、
そして「下巻」は第16代仁徳天皇から第33代推古天皇までのことが
記されています。
 
 

編纂の経緯


 

 
「蘇我入鹿暗殺事件(乙巳の変(いっしのへん))」で
蘇我蝦夷は大邸宅に火をかけ自害しましたが、
この時に朝廷の歴史書を保管していた書庫までもが炎上し、
『天皇記』や『国記』など数多くの歴史書は失われてしまいました。
 
第40代・天武天皇は、正しい歴史が失われてしまうことを危惧し、
正しい歴史を書き残すべく、一大プロジェクトをスタートさせました。
まず、高い識字能力と記憶力を持つ舎人の稗田阿礼に
この世界の始まりの物語や天皇の故郷である高天原、
各地に伝わる歌謡や伝承を一つにまとめるように命じ、
それまで日本にあった公的な歴史記録『帝紀』や
各地の神話伝承を集めた『旧辞』などの文献を「誦習」させます。
 
天武天皇存命中にこの一大事業は完成しませんでしたが、
30年後、第43代・元明天皇の命により、
太安万侶(おおのやすまろ)が新たに編集者として登用され、
和銅5(712)年に『古事記』を完成させました。
 
 

『古事記』と『日本書紀』


 

 
  古事記 日本書紀
完成年 和銅5(712)年 養老4(720)年
編集者 稗田阿礼が語り、
太安万侶が筆録
舎人親王ら
巻数 上・中・下の全3巻 全30巻+系図1巻
性格 天皇の国土の支配や
皇位継承の正当性を国内に示す
海外に通用する正史を
編纂する目的で編纂された
収録範囲 神代~推古天皇 神代~持統天皇
記述法 編年体(紀伝体を含む) 編年体
表記 和文
(日本語本来の音を漢字表記)
漢文
 
『日本書紀』は、天武天皇が
川島皇子(かわしまのみこ)や 忍壁皇子(おさかべのみこ)らに命令し、
『古事記』の成立から8年後の養老4(720)年に
舎人親王(とねりしんのう)が 元正天皇にその完成を奏上した歴史書です。
 
『日本書紀』は、海外に通用する正史を編纂する目的で
Chinaの歴史書に倣って編纂された歴史書です。
そのため、Chinaでも読むことが出来るように、
漢文体で、時系列順に記録されています。
国の正史と位置付けられています。
 
一方で『古事記』は、
日本の古語を書き記すために、崩れた漢文体を用い、
国内向けの文章で書かれています。
完成後に広く読まれた形跡がないため、
宮中内部の私的な文書であったからではないかとも言われています。
また、氏族系譜に対してこだわりを見せているところから、
皇室と各氏族との関係性を明示し、
天皇中心の国家体制を確立するために作られたという見方もあります。