成人の日

 
一生に一度の晴れの日、
「成人式」は人生で重要な節目です。
そんな大切な日である「成人式」を
今のようにお祝いするようになったのは
いつ頃からなのでしょうか。
 
 

現在の「成人式」の由来

 
現在のような「成人式」(せいじんしき)
行われるようになったのは、
戦後間もない、昭和21(1946)年11月22日に、
埼玉県の現在の蕨市で開催された
「青年祭」だと言われています。
 

1月15日

 
これが全国に広まり、昭和24(1949)年に
「おとなになったことを自覚し、
 みずから生き抜こうとする青年を祝い
 励ます」という趣旨で、
1月15日を「成人の日」と制定しました。
 

 
「成人の日」を1月15日に定めたのは、
「元服の儀」を
新年最初の満月に行う風習があり、
それに由来しているためです。
 

1月の第2月曜日

 その後、「成人の日」は
平成12(2000)年の「祝日法」改正
(通称:ハッピーマンデー法)により
1月15日から「1月の第2月曜日」
変更されました。
 
但し地域によっては、
成人式への出席率を上げるために
「成人の日」に
成人式を行わない市区町村もあり、
特に「成人の日」の前日の日曜日に
行うところが多いようです。
他県の大学へ通う人が参加しやすく、
気候的に着物で出席しやすい
3月に「成人式」を行う市区町村もあります。
 
降雪地帯では天候の悪い1月を避けて、
「夏休み」に地元を離れた人が
出席しやすいようにと、
真夏に成人式をする地域もあります。
秋田県は8割超の市町村が
8月に「成人式」を行っています。
 
 
 
ところで「第2月曜日」では、
1月15日が「成人式」になることはありません。
元々1月15日の行事なのに、
どうして「第3月曜日」にならないのでしょう?
 
 
それは平成7(1995)年1月17日に起きた
「阪神・淡路大震災」が関係しています。
 
 
「阪神・淡路大震災」では、
政府や行政の対応の遅れが批判された一方で、
ボランティア活動が活発化し、
「日本のボランティア元年」と言われました。
 
 
これをきっかけに、
ボランティア活動への認識を深め、
災害への備えの充実強化を図る目的で、
なりました。
 
 
もし1月1日が土曜日の場合、
「第3月曜日」は1月17日となり、
「成人の日」と「防災とボランティアの日」が
重なってしまいます。
それを避けるために、
第2月曜日に設定したと言われています。
 
 

令和6(2024)年の「成人式」

 
令和6(2024)年の「成人の日」は、
1月8日の月曜日です。
 
民法の改正によって、
令和4(2022)年4月1日から、
成年年齢は18歳に変更されました。
そのため現在では、成人式に出席する年齢は、
これまでと同じように20歳のパターンと、
18歳以上の人が対象者になるパターンが
あります。
どちらが対象者となるのかは、
記念式典を主催する自治体によって
決められています。
 
ただ、従来と変わらずに
20歳の人を成人式の対象者とする
自治体が多いようです。
というのは、18歳は学年でいうと
「高校3年生」に当たるため、
大学受験へ向けて受験勉強をしたり、
卒業後に働くために就職活動をしたりと、
多くの新成人が忙しくなるといった
事情からです。
また、成年年齢が18歳に
引き下げられたからと言って、
飲酒が出来るのは
20歳からと法律で決められています。
20歳を成人式の対象者とする背景には、
成人式のお祝いの席をきっかけに、
18歳からお酒を飲むことを防止する
意味合いもあるのです。
 
成人式の対象者には、
開催年度の11月から12月頃に
自治体から自宅へ記念式典の案内状が
送られて来ます。
もしこの時点で届いていない場合には、
早めに自治体へ問い合わせることが大切です。
 
成人式の記念式典の案内状は、住民票がある
自治体から現住所に送られてきます。
そのため、進学などで市外へ引っ越して
住民票を移している場合には、基本的には
現住所がある自治体の成人式に参加すること
になります。
既に住民票を移していて、現住所ではない
地元の成人式に参加したい場合は、
市外からの参加者を受け付けるかどうかは、
自治体によって判断が異なりますので、
自治体のWebサイトでを閲覧したり、
窓口に問い合わせをするなどして、
成人式に参加出来るかどうかをチェックして
みて下さい。
 
なお成人式の記念式典の案内状には、
会場の入場券や記念品の引換券など、
当日に必要な書類が同封されている場合が
あります。
地域によっては、案内状がなければ
会場内へ入れず、記念式典に参加出来ないこと
もありますので、注意して下さい。
 

通過儀礼としての成人式

 
日本では、昔から大人の仲間入りをする
通過儀礼が行われていました。
男子は「元服」(げんぷく)や「褌祝」(へこいわい)
女子は「裳着」(もぎ)や「結髪」です。
 

男子の成人式「元服」

 
「元服」(げんぷく)は、
奈良時代から行われてきた
男子の成人儀礼です。
「元」は「はじめ」、
「服」は「着物」の意味があり、
「元服」には、「子供が成長して
初めて着物を着る」という意味があります。
 
 
宮廷や貴族の社会では、
数え年12~16歳の男子が
氏神の前で大人の服装に改め、
子供の髪型を大人の髪型に結い直して
冠をつけることから、
「初冠」(ういこうぶり)とも呼ばれます。
平安時代には、元服の際、
父親や烏帽子親と呼ばれる立ち会いの仮親に
烏帽子を被せてもらい、
童名(どうみょう)に代わり
彼らの名前から1字をとって改名しました。
 
江戸時代になると、
貴族や武士に倣って庶民の間でも、
18、19歳で元服を行うようになりました。
「元服式」で男性は
髪を額から頭の中央にかけて剃り上げる
「月代」(さかやき)をしました。
 

公家の女子が行った成人式
「裳着」(もぎ)

 
これと同様に、貴族の女子が行ったのが
「裳着」(もぎ)です。
「裳着」は、平安時代から行われた
女子の成人の儀式で、
12歳~16歳の女子に初めて「裳」を着せ、
垂らしていた前髪を結い上げる
「髪上」(くしあげ)が行われ、
お歯黒をし、眉墨を書きました。
 
 
鎌倉時代以降は、「袖留」(そでとめ)といって
女児の服から小袖を塞ぐ
大人の着物を着るようになりました。
 
江戸時代には、女性が成人に伴って行う儀式を
「成女式」と呼び、改名もしました。

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