お七夜(おしちや)と命名式

「お七夜」(おしちや)は、
生まれてから7日目に
子供に名前を付け、健康と無事の成長を願う行事です。
 
妊婦の「出産祝い」や「退院祝い」も兼ねて、
祖父母や親戚の人々が集まり、
赤飯や尾頭付きの鯛を用意して盛大にお祝いします。
 
赤ちゃんの名前を決め、披露することから、
「名付け祝い」「命名式」とも言われます。
 
 

命名書

「命名書」は、
「奉書紙」を横二つ折りにし、更に縦三つ折りにして、
父親か祖父が書きます。
  • 中央:赤ちゃんの名前
  • 右肩:命名日と両親の名前(または名付け親の氏名)と続柄
  • 左下:赤ちゃんの生年月日
 
畳んだ表紙部分に「命名」と書き、神棚に供えます。
神棚がない場合は、床の間、
床の間がない場合は、赤ちゃんの枕元の壁などに
大人の頭より高い位置に貼ります。
 
近頃は、命名書の代わりに「命名軸」なども使用されます。
そして、母親の床上げ後、「へその緒」と一緒に保存します。
 
  

お七夜の祝い膳

「命名書」を神棚や仏壇に供えたら、その後、祝宴を行います。
 
昔は生まれてすぐの死亡率が高く、7日を経れば一安心と、
人としてのしるしである「名前」を授け、
盛大なお祝いをしました。 
 
子供は名前が付けられて初めて、
社会の一員として認められたことになりますので、
「お七夜」は子供が社会の仲間入りをするお祝いだとも言えます。
 
ただ、出産後間もないお母さんの体調を気遣い、
お父さんや祖父母などが中心となって行うのがいいようです。
「命名書」を用意して飾るだけにするなど、
お母さんと赤ちゃんが疲れないように、
沢山の人を招いて盛大にお祝いすることは少なくなっています。
 
一般的な祝い膳は、赤飯と尾頭付きの魚です。
魚はお目出度い鯛の他、ブリやボラなどの「出世魚」が用いられます。
それに、刺身や煮物、揚げ物、昆布、吸い物など、
地域やその家に寄っての料理が加えられます。
最近では、仕出しの料理やお寿司などを頼み、
準備の負担を軽くすることも多いようです。
 
 

名付け親

現在、子供の名前は親が付ける場合がほとんどです。
勿論、中には祖父母や親しい間柄の友人、長寿の人や尊敬する人に
名付けてもらうこともあるでしょう。
 
しかし、そもそも「名付け親」とは、
単に「名前を付けた人」というだけの存在ではありませんでした。
彼らは子供の仮親となり、
経済的な援助などを行うこともある特別な間柄でした。
その関係は、地方によっては、
子供が成人するまで、あるいは一生涯続くものでした。
 
なお、近世までは、
子供の頃に付けられる「童名」(わらべな)
成人になって与えられる「成人名」があり、
名付け親もその双方にいました。
 

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