赤ちゃんの健やかな成長を願って行われてきた儀式や言い伝え

生まれてきた赤ちゃんが元気に育つようにと願って、
昔からいくつもの儀式や言い伝えがあります。
 
 

産湯(うぶゆ)

赤ちゃんにとって「産湯」は、
出産の際の穢れ祓い清める禊であり、
人間社会の仲間入りをさせるという重要な意味があります。
 
出産直後に浴びるお湯の事も「産湯」と言いますが、
実際は生まれて3日目に行われる儀式でした。
「産湯」には、氏神様がお守り下さるその土地の水を使いました。
「〇〇で産湯をつかった」など、
産湯が人の出生に大きく関わっていたことを
聞かれたことがあると思います。
 
産湯には、子供の健康を願い、
塩やお酒、米のとぎ汁、漆の器などを入れるところもありました。
 
 

産着(うぶぎ)

産着は、赤ちゃんが始めて着る袖のある着物です。
地方によっては、
生まれたばかりの赤ちゃんは袖のないおくるみにくるんでおき、
3日目に産湯に入れた後、初めて産着を着せる儀式をしたり、
7日目に「お七夜」に初めて着せるところもあったようです。
また、お宮参りに着る晴れ着を「産着」と呼ぶところもあるようです。
 
麻の葉模様
「麻の葉模様」は魔除けになると言われたことから、
また、麻の様に、
真っ直ぐにすくすく育って欲しいという願いを込めて、
赤ちゃんの産着には、麻の葉模様の刺繍が多くされました。
今でも新生児の肌着には、
麻の葉模様がプリントされているものがあります。
 
 

産飯(うぶめし)

赤ちゃんが生まれた直後にご飯を研ぎ、
お母さんと赤ちゃんを守ってくれるという産神様に供え、
親戚や近所の人などにも配る儀式です。
産婆さんやお母さんは勿論、
赤ちゃんの分も用意して枕元に置きます。
沢山の人が食べたほうが、
赤ちゃんが丈夫に育つと言われている地域もあります。
但し、男性は参加せずに、女性だけに産飯が配られました。
 
 

へその緒

「へその緒」は胎児が母体の胎盤から栄養を吸収する器官で、
「臍帯」(さいたい)とも言います。
通常、赤ちゃんが誕生すると、産院や病院では、
へその緒と産毛を真綿の入った桐の箱に入れてくれます。
箱の裏には、
赤ちゃんの生年月日、生まれた時の身長・体重・両親の名前・
担当した医師の名前などを記してくれるところが多いようです。
「へその緒」は親子の絆の原点ですから、
神棚に供えて大切に保管しましょう。
 
へその緒には独特の言い伝えが多く残っています。
  • 「子が大病に罹っても、
     へその緒を削って飲ませれば必ず治る」
  • 「トイレに吊るすと、夜泣きのお呪いになる」
  • (へその緒を紛失すると)
    「病弱になる、物覚えが悪くなる」
と言ったものです。
 
 

産毛(うぶげ)

産毛は胎児の時から生え始め、
成長とともに全身に広がるため、
生まれたばかりの赤ちゃんには
耳や肩、背中などに黒々とした産毛が密集していますが、
成長とともに自然に抜けていきますから、
心配しなくても大丈夫です。
 
生まれてから、初めて切った産毛を使って、
「赤ちゃん筆」、「胎児筆」と呼ばれる
記念の筆を作ることがあります。
産毛は、赤ちゃんのお守りになるとも言われています。
 
一度もカットをしていない毛先は細く繊細で、
一生に一度しかない貴重な髪の毛です。
ごく稀に、産毛に白髪がある赤ちゃんもいますが、
これはとてもハッピーな髪で、昔から「福白髪」と呼ばれ、
順風漫帆な人生の叶えられる印だそうです。
 

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