神社の建物

社の建造物を総称して「社殿」(しゃでん)と言います。
その配置や内容は、神社によって異なりますが、
基本的な設置物におきましては、おおよそ以下のようなものとなります。
これらの建造物が全ての神社にあるという訳ではなく、
神社の規模によって一様ではありません。
 
 

境内の建築物

社号標(しゃごうひょう)

神社の入り口によく見られる、神社名を刻んだ石碑。
中には、社名の冒頭に昔伝えられてきた
由緒ある「社格」を入れることがよくあります。
代表的なものとして、
「式内社」や「県社・郷社・村社」といったものが上げられます。
 
 

鳥居(とりい)

神域と人間界を区分するゲートのようなもの。
この「神域」という概念は、原則「神社」にしか見られないため、
神社と寺院の違いはこの「鳥居」の存在でおおよそ把握できます。
 
 

制礼(せいさつ)

元々は、禁令・法規などを箇条書きに記して立てた札のことでしたが、
現在では、主に神社に関する由緒書きや掲示板となっています。
先ずはここをチェックしてみると、
御祭神や創建の歴史、例祭日などが分かります。
 
 

石段

人間の世界から「地上界、神様の世界」に 登って行くというイメージが、
神社の石段には込められているそうです。
上る時も、下りる時も左端歩いて下さい。
真ん中は「正中」(せいちゅう)と言い、神様の通り道ですから、
歩かないようにして下さい。
神社の石段が多いランキング
  • 第1位:「出羽三山神社」・・・2,446段
  • 第2位:「金刀比羅宮」 ・・・1,368段
  • 第3位:「伏見稲荷大社」・・・1,276段
 
 

参道(さんどう)

神社の社殿へと導く道筋のことで、「参詣するための道」という意味。
玉砂利を敷き詰めたり、石畳としていることが多く、
お詣りの導線となっているので、
参道を歩いて行けば、その神社を一通り巡ることが出来ます。
但し、石段同様、参道の中央は神様の通る道「正中」(せいちゅう)ですから、
左に一歩外して歩くのが礼儀となります。
 
 

灯籠(とうろう)

単なる照明のためのものではなく、
神の御加護をより一層強く願うために、
神前に灯明を点すことを目的に祈願者から奉献されたもの。
この灯籠は仏教伝来と共に伝来したとされ、
神社の献灯の代用にも用いられました。
そういう意味では、
「神仏習合」の名残りが感じられるものなのかもしれません。
 

手水舎(ちょうずや)

身を清めるための手水が用意されている場所です。
 

神楽殿(かぐらでん)・舞殿(ぶでん)

「神楽」の語源は「神座」(かむくら・かみくら)から来ており、
「神の宿るところ」という意味です。
ここに神を降ろし、人々の穢れを祓い、
巫女による神がかりで人々と交流する神事でここで舞が舞われます。
これが「神楽」で、この「神楽」を舞う建物が「神楽殿」です。
 

社務所(しゃむしょ)

神職、巫女、事務員などが、神社奉仕に勤めるところです。
大抵の神社では、単なる事務処理だけでなく、
お祭りの準備や総代会などの初会議、あるいは祭典後の直会、
各種の教化活動に関する一切がここで行われています。
 
 

古札所(こさつしょ)・納札所

古くなった御守(基本的には1年)を返すための場所。
 

絵馬掛け

絵馬を掛けておくところ。
 

摂社(せっしゃ)

主に境内に附属する
「本社」に縁故の深い神を祀った神社のことです。
一般的には「末社」より大きいものが多く、
中には、「本社」の境内の外にある「境外社」もあります。
代表的な関係性としては、
本社主祭神の后(きさき)神や御子(みこ)神、
本社旧跡に設けた社、主祭神の荒御魂(あらみたま)
地主神などが上げられるようです。
 
 

末社(まっしゃ)

「摂社」と同じように、
主に境内に付属する本社に付属する小さい神社となります。
基本的には、「摂社」の基準に当てはまらない
客分の神様を主に祀っていると言います。
 
 

御神木(しんぼく)

神社に縁故のあるものとして象徴的に祀られている樹木で、
中には、これをご神体に上げる神社もあります。
一般には、ご神木の幹には注連縄が張られています。
 
 

狛犬(こまいぬ)「などの神使

神社を守る神使の像で、主に魔除けのために置かれていると言います。
神社の境内に置かれるようになったのは江戸時代以降とされ、
それ以前は社内に置かれていたようです。
 
 

宝物殿(ほうもつでん)

神社にまつわる宝物が納められた建物。
小型のものでは「宝物庫」と呼ぶものもあります。
一般的には、
祭りに使われる「神輿」(みこし)や「山車」(だし)などが
納められています。
 
 

神門(しんもん)

神社に設けられた門のことで、
柱の数を脚で表し、その数でそれぞれ
「四脚門」(よつあしもん)、「八脚門」(やつあしもん)などと言います。
2階建て構造のものもあり、
一階・二階共に屋根を持つものを「二重門」(にじゅうもん)
二階部のみに屋根がくものを「楼門」(ろうもん)と言います。
寺院の仁王門のように、
一階部に右大臣・左大臣を擁するものもは
「随神門」(ずいしんもん)と言います。
 
 

玉垣(たまがき)

神社の周辺に設けられた垣(囲い)のことで、
別名、「瑞垣」(みずがき)とも言います。
神域がはっきりと区別されるために設けられており、
神社全体を囲うものもあれば、本殿の周囲を囲うものもあります。
寄進者の名前が刻まれているものもあります。
 
 

拝殿(はいでん)

本殿の前に設けられた、文字通り、神様を配するための建物です。
一般的には正面軒下に賽銭箱などが設置されています。
「拝殿」は「本殿」より大きく作られることが多く、
奈良の大神神社の様に、三輪山をご神体とするため、
「本殿」を持たない、「拝殿」のみの神社もあります。
一方、伊勢神宮を始め、古社と呼ばれる神社には
この「拝殿」のない神社も少なくありません。
 
 

本殿(ほんでん)

神社の中で一番の最重要部に当たり、
実際の神霊や御神体が納められた建物になります。
このため、一般には入ることが禁止されています。
 

その他

 一般的な神社は、本殿と拝殿とからなっていますが、
やや大きな神社では拝殿と本殿の間に
「幣殿」(へいでん)や「祝詞殿」(のりとでん)
あるいは横に
「神饌殿」(しんせんでん)などが設置されている場合もあります。
 
 

幣殿(へいでん)

幣帛(へいはく)などの神様にお奉納物を供えるため建物。
通常は「本殿」と「拝殿」の間に位置し、
「中殿」とか「中の間」とも言います。
通常は「本殿」が最も高い所にあり、次に「幣殿」があり、
その一段下に「拝殿」が建てられています。
 
 

祝詞殿(のりとでん)

祝詞を奏上するための建物で、 幣殿で代用することもあります。
 
 

神饌殿(しんせんでん)・御饌殿(みけでん)

神様の食事を整える建物。
特に、伊勢神宮において、
朝夕の神饌を供する井楼(せいろう)組の造りの建物。
 
 

祓殿(はらえでん)

心身を清浄にするためのお祓いが行われる建物
 
 

直会殿(なおらいでん)

祭儀終了後、神職や参列者が直会を行うための建物
 
 

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