「梔子」(くちなし)は、梅雨の時期に、
大きくて真っ白い花を咲かせる
「三大香木」(さんだいこうぼく)の一つです。
「梔子の花」ってどんな花?
「梔子」(くちなし)は、
ツヤツヤした葉が美しいアカネ科の常緑低木で
公園や民家の庭にしばしば栽植されています。
China大陸から朝鮮半島、台湾、
インドシナ半島にかけて広く分布しています。
日本では本州の静岡県以西、四国や九州、
南西諸島などの温暖な森林で低木として
自生しています。
6月から7月にかけて、直径5~6㎝の
6枚の花びらを持つ白い花を咲かせます。
咲き始めの頃は「真白」、
咲き進むに従って「クリーム」色がかり、
最後は「カスタードクリーム」のような
まろやかな色に変色していきます。
また心を潤すような甘い香りが魅力的で、、
その香りがとても強いため、
少し離れた位置からでもその香りに気付きます。
そのため、「日本の三大香木」と言われます。
「三大香木」(さんだいこうぼく)とは、
香りの強い花をつける3つの樹木のことを
言います。
春は「沈丁花」(じんちょうげ)、
初夏から夏にかけての「梔子」(くちなし)、
秋は「金木犀」(きんもくせい)です。
いずれも街路樹や公園などでもよく使われています。
19世紀にアジアからヨーロッパに渡ると、
この純白の甘い香りのする花が気に入られ、
香水の原料となったり、
様々な香り付けに利用されたり、
今でも結婚式のブーケや贈り物などとして
人気が高いようです。
花びらは傷付きやすく、花は短命なので、
「切り花」はなかなか流通しないので
生花店では「鉢植え」の販売が多いようです。
不思議な名前の由来は?
ところで「くちなし」とは、
何ともユニークな名前ですが
その由来は梔子の「実」から来ています。
「梔子の花」は、植えてから3~4年経って
からしか咲きません。
そして秋になると橙色の「実」がなりますが、
「実は成熟しても口が開かない」ために
「くちなし」となったとされます。
『古今和歌集』にある素性法師の歌に、
「山吹の 花色衣(はないろころも)
主や誰問へど答えず くちなしにて」
主や誰問へど答えず くちなしにて」
(山吹の花のような色の衣に
持ち主は誰ですかと聞いても答えません。
それはくちなしだからです).
という歌が由来の原点とも言われています。
他に、「くちなわ(朽ち縄;蛇の古語)しか
食べない果実」という意味が変化して、
「くちなし」という説もあります。
梔子の花は縁起が悪い?
「くちなし」という名前から
「嫁にもらうくちなし」と言って、
女の子がいる家は植えてはいけないという
風習があります。
また「くちなし」=「口が無い」が
連想されるためでしょうか、
「死人に”口無し”」と誤認され、
この花は病気見舞いに持って行かない方が
いいとも言われています。
喜びを運ぶ、縁起の良い花
「梔子」は西欧では「ガーデニア」と言い、
その昔、「天使が地上に降ってきた花」と呼ばれ
縁起の良い花として親しまれていました。
花言葉は、「とても幸せ」「優雅」「喜びを運ぶ」。
こうした幸運なイメージは、
初夏の風にのって運ばれてくる
あの甘い香りと結び付いているようです。
祝いの席を彩るのにもピッタリで、
結婚式のブーケやプレゼントにも
最適な花とされてきました。
ネガティブなイメージがつけられやすい
梔子(ガーデニア)ですが、
実際には花も花言葉も美しいので
どうぞご安心下さい。
なお、庭先に植える時は
「西」または「南西」に植えるのが
良いと言われています。
「ガーデニア」という名前に
因んだ伝説
昔むかし、「ガーデニア」という名前の娘が
おりました。
彼女は清く純潔な心を持ち続けたいと願い、
カーテン、家具、洋服など、
全てを白に統一していました。
ある夜のこと、彼女の願いを叶えようと、
天使が舞い降りてきます。
そして天使は「ガーデニア」に、
地上にたった一つしかない種子を授けて
言いました。
「この果実を大事に育てて、
咲いた花にキスをして欲しい」
ガーデニアは大事に育てたところ、
一年後、よい香りのする純白の花が咲きました。
そしてガーデニアが花にキスをすると、
再びあの天使が現れて
ガーデニアにプロポーズをしたのでした。
「あなたを探し求めていました、
どうか結婚して下さい。」
ガーデニアはプロポーズを快く受け入れ、
二人は夫婦として仲良く暮らしたそうです。
そしてこの花は「ガーデニア」と呼ばれる
ようになったそうです。