「三色団子」はその名の通り、
一本の串にピンク・白・緑の3色の
お団子が刺さったもので、
「花見団子」と呼ばれることもあるように、
桜のお花見の時期になると
和菓子屋さんの店頭に並んでいるのを
よく見かけます。
「花見団子」の始まり
花見の時に団子を食べるようになったのは、
慶長3(1598)年3月15日に豊臣秀吉が
京都の醍醐寺で催した花見の宴
「醍醐の花見」にまで遡ります。
秀吉はこの日のために、
近江など各地から集めた700本もの桜を
醍醐寺に植林し、建物や庭園を造りました。
そして諸大名から配下の妻など
約1300名もの女性を招いて、
日本一と言っても過言ではないほど
豪華な宴を一日中楽しんだと言われています。
この時、団子が好物だった秀吉が
「女性が喜ぶように」と、地味な白ではなく、
爽やかで可愛らしい団子をと希望したことから
「三色団子」が考案されたそうです。
それから5ヵ月後に秀吉は病死しましたが、
これをきっかけに、花見の際には
お菓子を食べるという習慣が広まりました。
江戸時代には庶民の間にも
お花見の習慣が浸透し、それと共に
「三色団子」も花見をしながら楽しむ
「花見団子」として定番化したようです。
三色団子の特徴
「見た目」
「三色団子」は見た目からも春を感じられる
可愛らしいパステルカラーが特徴です。
「三色団子」の並び順は、昔から変わらず、
上からピンク・白・緑と順番も決まっていて、
この三色の色や配列の意味には諸説あります。
邪気払い説
・紅白 :縁起担ぎ
・緑(草の色):邪気払い
日本人は昔から、食べ物で縁起を担ぎ、
幸せを願ってきました。
春待ち説
・ピンク:桜
・白 :残雪
・緑 :草
降り積もった雪の下に芽吹く新芽、
そして雪が溶け春を迎え花が咲くという、
待っていた春がやってきた喜びを表している
という説です。
早春の大地を表している説
・ピンク(紅色):春の太陽
・白 :名残り雪
・緑 :新芽
春の太陽の下、残雪の下には、
緑が芽吹いている様子を表している
という説です。
桜が咲く順番を表しているとする説
・ピンク:桜の蕾
・白 :満開時の桜の花
・緑 :散った後の葉桜
ピンクの蕾から白い花が咲き、
緑の葉が成長する様子を表している
という説です。
雛祭り由来説
・ピンク:桃の花
・白 :白酒
・緑 :蓬
菱餅の色に合わせているという説です。
日本の四季説
・ピンク:春の「桜」
・白 :冬の「白酒(または雪)」
・緑 :夏の「草木の緑」
秋を表す色がない・・・
「秋がない」=「(何度食べても)飽きがこない」
にかけています。
三色団子の特徴
「風味・味」
「三色団子」は、
たれやあんこを使わないことが特徴で、
上新粉やお砂糖をメインにした
シンプルな材料で作られています。
白いお団子は「寿甘」(すあま)とも言われ、
優しい甘さともちもち感を活かした
基本的なお団子の味です。
飽きのこない、団子そのものの、
素朴な甘さを味わうことが出来ます。
ピンクと緑のお団子は、
着色料で色をつける場合もありますが、
色や風味の元になる材料によって
味や風味が変わってきます。
多くの和菓子屋さんでは、
「ピンク色」には、
梅や赤しそ、桜の塩漬けなどを、
「緑色」には、
蓬(よもぎ)や抹茶を練り込んでいます。
口に入れると、梅・赤しそ・桜の香りが
それぞれふんわりと漂いますし、
緑の蓬(よもぎ)は爽やかな香りがし、
抹茶の場合は香りとともに
ほろ苦さが甘みの中に感じられます。