草餅(くさもち)

 
鮮やかな緑色と爽やかな香りの「草餅」。
餅にゆでたヨモギの葉を混ぜ込んだもので、
餅の中に餡を詰めたものもあります。
「よもぎ」は、
古くから邪気や病気を祓うと考えられ、
また様々な有効成分を含むことから、
薬草としても重宝されてきました。
 
 

草餅の特徴

 
蓬の葉を餅に練りこんだ「草餅」の特徴は、
まずその鮮やかな緑色にあります。
表面の艶々とした光沢は
(よもぎ)の新鮮さを表しており、
食欲をかき立ててくれます。
薄化粧のようにきな粉や餅粉を表面
にまぶしたものもあり、
上品さを演出しています。
 
また、「草餅」を頬張ると、爽やかな蓬の
若葉の香りが口一杯に広がります。
「草餅」の中には
粒餡やこし餡を入れることが多いのですが、
中には入れずに、
「草餅」の上から餡で覆うタイプもあります。
よもぎのかすかにほろ苦い味が、餡の甘さを
バランスよく抑える効果をもたらし、
何個食べても飽きずに口に運んでしまいます。
 
焼いたり、柔らかく煮た後に
きな粉をまぶして食べると、
よもぎの香りが一層引き立ちます。
 

歴史・由来

 
「草餅」は、古代Chinaから伝わったと
されています。
古代Chinaでは、古来から「上巳の節句」に、
春の七草のひとつ「御形(母子草)」を練り込んだ
「草餅」を食べる習慣がありました。
というのは、「御形」(ごぎょう)には
邪気を祓う力があるとされていたからです。
 
 
その風習が日本に伝わり、平安時代には既に
「母子が健やかに過ごせますように」という
願いを込めて「御形」(ごぎょう)を使った
「草餅」を食べていたようです。
雛祭りにつきものの「菱餅」は、
今では桃の花を表すピンク、
雪を表す白、
草を表す緑の三段重ねですが、
江戸時代後期頃は、「草餅」を使って
緑白緑の三段重ねだったとか。
今の形になったのは
明治時代に入ってからのようです。
 
その後、母子の幸せを願って食べる
「草餅」に、
「母子草」をすり潰して混ぜ込むのは
縁起が悪いと考えられるようになり、
「御形」(ごぎょう)と同じように
邪気を祓う力があるとされていた
「よもぎ」を使うようになりました。
ただ今でも「母子草」を使う地域も
残っているそうです。
 
時代が下り、「母子草」も「よもぎ」も
薬草の一種なので、
邪気や病気を祓うと考えられ、
他の季節にも食べられるようになりました。
 

草餅の形によって縁起が異なる⁉

「草餅」の形によって、
何に縁起が良いのか異なってくるそうです。
 
巾着
「巾着」とは、昔は財宝を入れる袋のことで、
財宝を入れることから、
「金嚢」(こんのう)とか「宝袋」(ほうたい)
呼ばれていました。
ということから、巾着の形の草餅は、
金運アップに繋がるそうです。
 
慈姑(くわい)

お節料理でよく見かける「くわい」は、
球根みたいな形のものに
芽が出ているような見た目なので、
「芽が出る」という意味があるそうです。
 
人間

草餅の原料がよもぎになる前は、
母子草を使っていたため、
母と子を表した人間を模した草餅もあります。
これは、親子で仲良くいられるようにとの
願いが込められているそうです。
 
はまぐり
「はまぐり」は、人との縁に恵まれる、
素敵な人と出会えるなどという
縁起の良いものです。
 

よもぎ

 
「草餅」に使用するのは主に「よもぎ」です。
「草餅」に使用するので、
「餅草」(もちぐさ)とも言います。
 
「よもぎ」はキク科の多年草で、
野生していて道端にもよく見かけます。
春先に、若葉を摘んでゆでてから
「草餅」や「草団子」に入れ込みます。
様々な栄養効果が期待出来ることから、
古くから漢方や民間療法の薬として
利用されてきました。
 
よもぎの健康効果
よもぎは、漢方では「艾葉」(がいよう)と言い、
止血薬として用いられます。

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蓬茶(よもぎのお茶)
蓬茶には、アンチエイジングや美肌、
ダイエット、貧血や更年期障害の改善、
体内の血行を良くする効果などが
期待されています。

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艾(もぐさ)
よもぎの葉の裏には細かい綿毛があり、
「モグサ」として鍼治療のお灸に利用されて
います。
 
蓬湯(3月の風呂)

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お風呂に入浴剤としてよもぎを使うことで、
体の芯から温まり、体の毒を排出し、
内側からキレイになっていきます。
腰痛、神経痛、関節痛、筋肉痛、冷え性、
痔症、湿疹、かぶれなどに効果があり、
デトックス効果も期待されています。
 

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