鯛(たい)

f:id:linderabella:20210521144155j:plain

 
「鯛」はその姿や薄紅色の美しさから、
魚の王様として、
祝いの膳には欠かせない食材です。
「めでたい」の語呂合わせや、
「大位」(たい)の当て字、
「腐っても鯛」などのことわざも、
「鯛」の位の高さを表しています。 
 
 
 
鯛は縄文時代の昔から食べられており、
遺跡から鯛の骨が多数出土しています。
古代には貢物として、
西日本各地から京へ干鯛が運ばれました。
江戸時代になると、
漁業・商業の神として人気のあった
「えびす様」が鯛と釣竿を持っていることもあり
縁起物の地位を不動のものとしました。
 
因みに、「鯛」という名前が付きますが、
「金目鯛」(キンメダイ目キンメダイ科)や
 
「甘鯛」(スズキ目キツネアマダイ科)は、
タイ科ではありません。
鯛にあやかりたい、鯛人気の証と
言えるでしょう。
 

にらみ鯛

正月三が日に、お節料理と共にお膳に上がる
尾頭付きの鯛の焼き物のことを言います。
三が日は箸をつけず、
それ以降に温めたり、
鯛味噌や鯛飯などに再調理して食べます。
 

鯛の鯛

 
江戸時代から親しまれている「鯛の鯛」。
鯛の体の中のある骨のことです。
鯛は9種類の骨から形成されていますが、
その中でも「鯛の鯛」とは、
胸びれを動かすための骨のことを言います。
肩甲骨と烏口骨という肩の2種類の骨が
繋がったものなのだそうです。
ただでさえめでたいことの象徴である
鯛の中に更に小さな鯛がもう一匹いるという
ことで、二重にめでたいとされてきました。
 
正面から見ると龍に見える
おでこの骨には「大龍」(だいりゅう)
熊手のように見える頭の骨には
「三つ道具」など、
鯛のそれぞれの骨には名前がついています。
鯛以外の魚でも
この骨の形は鯛に似ているため、
例えば「ホッケの鯛の鯛」
「カンパチの鯛の鯛」と言った言い方を
します。
鯛に限らず、様々な魚に存在している
「鯛の鯛」ですが、
昔から「真鯛」のものが最も美しく、
重宝されていたようです。
  

f:id:linderabella:20210227075121j:plain