桜(さくら)

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卒業から入学の時期に咲く「桜」(さくら)は、
日本の春の花代表とも言える花で、
「国民に最も愛好され、
 その国の象徴とされる花」とされる
「日本の国花」です。
 
 

桜の種類は600種以上

「桜」(さくら)はバラ科サクラ属の
落葉広葉樹です。
日本には古くから、11の原種(基本野生種)が自生しています。
 
- 日本の原種(基本野生種) -
 「ヤマザクラ」 「オオヤマザクラ」
 「カスミザクラ」「オオシマザクラ」
 「エドヒガン」 「チョウジザクラ」
 「マメザクラ」 「タカネザクラ」
 「ミヤマザクラ」「カンヒザクラ」
 
そして平成30(2018)年に紀伊半島で、
「オオシマザクラ」以来、103年振りに、
「クマノザクラ」が新たに発見され、
話題となりました。
なお、「カンヒザクラ」は日本の野生種として
数えないこともあります)
 
「桜」は変異しやすい植物であり、
多くの変異種が存在します。
改良による園芸品種の数も多く、
桜の品種は何と200種以上、
分類の仕方によっては600種以上になるとも
言われています。
 
なお、日本に分布している桜のうち
80%以上が「ソメイヨシノ」と言われています。
 

桜の基本情報

🌸科・属:バラ科・サクラ属
🌸和 名:桜
🌸英 名:Cherry blossom
🌸学 名:Cerasus
🌸原産地:日本・中国・朝鮮半島・欧州・北米
🌸開花期:3月~4月
 

名前の由来

「さくら」の語源には諸説あり、
有名なものは次の3つです。
  1. 「木花之佐久夜毘売」
    (このはなのさくやびめ)から来ている説
  2. 「田んぼの神様」から来ている説
  3. 「咲き群がる」様子から来ている説
  4. 「咲麗」(さきうら)から来ている説
  5. 「サキクモル」から来ている説
  6. 「割開」(さけひらく)から来ている説
  7. 「咲光映」(さきはや)から来ている説
 
「木花之佐久夜毘売」
(このはなのさくやびめ)から来ている説
『古事記』や『日本書紀』に登場する
「木花之佐久夜毘売」(このはなのさくやびめ)
「木花」とは「桜」のことで、
「桜の花が咲くように」
美しい女神様だと言われています。
富士山の上空から
桜の種を蒔いたという逸話があり、
「さくや→さくら」に変化したと
考えられています。
 
「田んぼの神様」から来ている説
「さ」は、田の神様を意味し、
「くら」は田の神様が座る場所を指す古語で、
このふたつが組み合わさり
「さくら」となったと考えられています。
 
その背景には、
「田の神様が桜の花を咲かせて、
 種をまく時期を私達に教えてくれている」
とか、
「田の神様は、桜の開花とともに
 人里へ降りて来て、私達を見守り、
 花が散ると帰って行く」
という信仰が古くからあったからです。
 
「咲き群がる」様子からきている説
「咲く」という動詞に
「彼ら・彼女ら」など
複数を表す接尾語「ら」がついて
「咲く+ら=さくら」になったとするものです。
小さな花が一斉に花開く様子から出た説と
思われます。
 
「咲麗」(さきうら)から来ている説
読んで字のごとく
「花が麗らかに咲く様子」を表す言葉です。
麗らかに咲く花の代表格と考えられていたのかもしれません。
 
「サキクモル」から来ている説
桜の花が咲く頃によく見られる
明るい曇り空を「花曇り」と言います。
この独特な天候を
「サキクモル」と言うようになり、
それがやがて「さくら」という名前に
変化していったとする説です。
 
「割開」(さけひらく)から来ている説
桜の樹皮が割ける様子を表す
「割開」(さけひらく)という言葉が転じて
「さくら」になったとする説。
 
「咲光映」(さきはや)から来ている説
「よろずの花の中で勝れて美しい」という
意味の「サキハヤ(咲光映)」という
言葉からきているという説。
 

日本人と桜

「桜」は、弥生時代までは、
穀物の神が宿る神聖な樹木として、
扱われていたと言われています。
「花見」には、田の神様へ
今年の稲の豊作を祈る意味合いがありました。
古くは桜の花の咲き具合から、
秋の収穫を占ったそうです。
苗代で苗を育てるさなか、
豊作への思いを桜に託してきました。
また桜の花が咲くことが、
農作業を開始する合図とされていたのだ
そうです。
 

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奈良時代には、花と言えば「桜」ではなく「梅」のことを指し、
昔は「花見」と言えば、
梅を鑑賞する「梅見」を指していました。
「梅」は元々Chinaの花であり、
「梅見」の行事も
Chinaから日本に伝来したとされています。
そのため、奈良時代の貴族の間では、
「梅」を鑑賞する「梅見が主流でした。
 
平安時代になり遣唐使が廃止されると、
日本独自の文化が花開き、
「梅」から「桜」の花見へと変化し、
貴族の中で定着しました。
嵯峨天皇が開催した「花宴の節」で
桜の花見をした記録に残っています。
 
江戸時代に入ると、貴族だけではなく
庶民にも桜を鑑賞する文化が広がっていった
ようです。
「享保の改革」の治水対策として、
川沿いに桜が植えられました。
土手の決壊を防ぎ、
洪水の被害を最小限に抑えるために
桜を植えてお花見で人を集め、
川岸の地面が踏み固められたと言います。
 
「儚く散る」ことを
「もののあはれ」と例えるようになったのも
江戸時代に入ってからです。
江戸時代の武士にとって
「散る」というイメージは
家が続かないなどのことを連想させるため、
家紋などには使われることは少なかった
ようです。
 
また、「桜のように散り際は潔くあるべき」
というニュアンスで使われることが
多くなったのは大正以降のようです。
 

お花見

桜のお花見は、春の楽しみの最たる一つです。
今は桜と言えば「染井吉野」が多いですが、
昔は山々にほんのりと色づく
「山桜」を眺めたそうです。
因みに、「国花」とされる桜は「山桜」です。

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国の天然記念物になっている
「日本三大巨桜」

桜の名所と呼ばれている所は沢山ありますが、
その中でも国の天然記念物に登録されている
「日本三大巨桜」と呼ばれる
古木の桜があります。
 
三春滝桜
福島県田村郡三春町の「常楽院」にある
エドヒガン系のベニシダレザクラで、
大正11(1922)年に
国の天然記念物の指定を受けました。
樹齢は1000年以上と推定され、
樹高は13.5m、枝張りは東西に25m南北に20mに達します。
四方に伸びた太い枝に、
真紅の小さな花を無数に咲かせ、
その様がまさに水が滝のように
流れ落ちるように見えることから、
「滝桜」と呼ばれるようになったと
言われています。
 
山高神大桜
山梨県北杜市武川町山高。
日本武尊が東夷征定の際、この地に留まり、
記念にこの桜を植えたという伝承が
名の由来となっており、
その後、日蓮聖人がこの木の衰えを見て、
回復を祈ったところ再生したため、
「妙法桜」とも言われています。
推定樹齢は2000年。
日本で最古・最大級のエドヒガンザクラと
言われています。
国指定の天然記念物第1号に指定されています。
 
淡墨桜
岐阜県の本巣市内にある
淡墨公園内にあります。
継体天皇お手植え伝説のある桜で、
蕾の時はピンク、満開時に白く、
散り際には淡く墨色を帯びています。
高さ約16m、幹囲約10mの
ヒガンザクラの一種で、
国指定の天然記念物です。
樹齢は1500余年と推定されています。
 

さくらの日

3月27日は「さくらの日」です。
桜を通して日本の自然や文化について
関心を深めてもらう目的で、
日本さくらの会が
「3(さ)×9(く)=27」の語呂合わせと、
この頃は七十二候のひとつ
桜始開(さくらはじめてひらく)
時期と重なることから、
平成4(1992)年に定められました。
 

食用ではない?

 
日本人が好んで観賞している桜も
実が付かないことはありませんが、
「食用」ではありません。
 
「さくらんぼ」は
「西洋実桜」(せいようみさくら)という品種の
桜の果実です。
これは、ヨーロッパ原産の品種で、
果実を食用にする桜です。
そのままでは酸味が強く
食用には向かないので、
甘く食べやすいように品種改良されたものが
「さくらんぼ」として出回っています。
 

桜の文様

 

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季節の湯・4月「桜湯」

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薬効があるのは「樹皮」のほうです。
花びらを一緒に浮かべれば、
風雅な春の趣も味わえます。
 

linderabella.hatenablog.jp

 

桜の花言葉

桜全体の花言葉は
「精神美・優美な女性・純潔」などが
あります。
「優美な女性」は、
桜の花の様子から付けられたのでしょうか。
言われてみれば、桜は優しい女性のような
雰囲気がありますよね。
八重桜の花言葉は
「おしとやか・豊かな教養」などです。