彼岸花、曼殊沙華

 

「彼岸花」とは

「彼岸花」は「ヒガンバナ科」の多年草です。
「彼岸花」は別名が多いことで知られています。
その数、なんと1000以上とも言われています。
 
「彼岸花」
ちょうど「秋のお彼岸」の頃に、
1本の真っ直ぐな緑色の茎の先端に、
直径約10cm前後の鮮やかな紅色の
花を咲かせることから、
「彼岸花」という名前が付きました。
 
秋の青空に鮮やかな紅色が映えます。
水田の畔道や土手など、
人手の入っていないところに
燃え上がるような真っ赤な花が
群生する様は鮮烈な印象ですが、
一輪でも存在感のある花です。
 
なお日本では、「彼岸花」と言えば、
赤い花を咲かせるものが有名ですが、
品種改良により、
白い「シロバナマンジュシャゲ」や
黄色の「ショウキズイセン」など、
30以上もの種類があります。
 
葉見ず花見ず
「彼岸花」は球根から花が出てきて、
その花が枯れた後に葉が成長します。
葉と花を同時に姿を見せることがないため、
「葉見ず花見ず」とも呼ばれます。
 
多くの植物は春に芽を出し、
夏に葉を繁らせ秋に枯れますが、
「彼岸花」はその逆。
冬に葉を繁らせ春に枯れ、秋に花を咲かせます。
 
学名「リコリス」
「彼岸花」の学名は「Lycoris radiata」
(リコリス ラジアータ)と言います。
 
「リコリス」は『ギリシャ神話』に登場する
「ニンフ(海の精)」の名前からで、
「ラジアータ」は「放射状の」という
意味だそうです。
 
そして「リコリス」の花言葉は、
「独立」「情熱」です。
「独立」は、一枚も葉もつけず、
一本の茎のみで真っ直ぐに花をつける姿に、
誇らしさや強さを感じたことが由来です。
 
曼殊沙華(まんじゅしゃげ)
「曼殊沙華」(まんじゅしゃげ)という別名は、
「赤い花」「葉より先に咲く赤い花」を表す
サンスクリット語と言われています。
仏教の経典『法華経』を釈迦が説いたのを
祝って天から降ってきた花の1つとされ、
「天上の花」という意味も持ちます。
 
不穏な別名 ①
「毒花」「痺れ花」
「彼岸花」は有毒植物として知られており、
花・茎・葉・球根、全ての部分に
「アルカロイド」という毒があります。
中でも特に強い毒を持つのは「球根」の部分です。
誤って食べてしまうと、吐き気や下痢を起こし、
重症の場合は中枢神経の麻痺を起こして、
最悪の場合は死に至るとも言われている
怖い植物でもあります。
 
そのため「毒花」(どくばな)、「痺れ花」(しびればな)
などという別名があります。
また「彼岸花」にある毒で
親子が互いに殺し合ったことから
「親死ね子死ね」という別名もあります。
 
「彼岸花」が土手や畦道に植えられているのは、
モグラやネズミから稲や野菜などの農作物を
守るためだと言われています。
 
ただ「彼岸花」の球根にはでんぷんも多いため、
飢饉の時には、すり潰したら何回も水に晒して
毒抜きをして、食べていたそうです。
 
それでも口にするのは大変危険なので
絶対にしないでくださいね。
 
不穏な別名 ②
「死人花」「幽霊花」「地獄花」
 
葉もなく、スッと伸びた茎先で
空へ向かうように開く花が
妖しさを醸すからでしょうか?
墓地に多いためでしょうか?
「彼岸花」には、「死人花」(しびとばな)
「幽霊花」(ゆうれいばな)、「地獄花」(じごくばな)
など何とも不穏な別名があります。
 
なぜ墓地の周りに「彼岸花」が咲いている
ことが多いのでしょうか。
それにはしっかりとした理由があります。
昔は遺体をそのまま土中に埋葬する
「土葬」が一般的であったため、
モグラやネズミなどの動物から
埋葬された遺体を守るためにお墓の周りに
「彼岸花」を植えるようになったのだと
言われています。
こういった理由からのですが、
それが不吉と言われるきっかけとなって
しまったのです。
 
その他
・「火事花」(かじばな)
  彼岸花を持ち帰ると火事になる
 
・「捨子花」(すてごばな)
  「彼岸花」の独特な咲き方に関係していて
  葉と花を親子に見立てたもの。
  葉[親]に捨てられた花[子]=「捨て子花」
  という事で、この名前になったそうです。
 
・「天蓋花」(てんがいばな)
  仏具の天蓋に似ていることから
 
・「狐花」「狐草」「狐の松明」
 「狐のかんざし」「狐の扇」・・・
  何もないところに突然花が開くことから、
  狐が化けて出たように感じることから。
 
・「灯籠花」(とうろうばな)
 
 
・「雷花」(かみなりばな)
 
 
・「龍爪花」(りゅうそうか)
 
 
・「剃刀花」(かみそりばな)
 
 

彼岸花の花言葉

 
 情熱、独立、諦め、再会、
 悲しい思い出、また会う日を楽しみに
情熱、独立、再会、悲しい思い出
思うはあなた一人、
また会う日を楽しみに
追想、深い思いやりの心、
陽気、元気な心
ピンク 快い楽しさ
オレンジ 妖艶
 
 

「彼岸花」の名所

墓地近くに群生するため、昔は忌み嫌われていましたが、最近は美しい秋の花として群生地が観光数ポットにもなっています。
 
宮城県大崎市「羽黒山公園
宮城県大崎市にある『羽黒山公園』は、
彼岸花の群生地であり、
約15万本の彼岸花が丘一面に咲き誇ります。
彼岸花は例年9月中旬以降に見頃を迎えます。
 
埼玉県日高市「巾着田
高麗川に囲まれ、巾着のような形に見えることから名付けられた「巾着田」は、
一説では、約500万本が群生すると言われ、
その本数は日本一を誇ります。
見応え抜群の壮大なスケールと神秘的な独特の雰囲気に魅了されます。
 
埼玉県幸手市「県営権現堂公園
埼玉県幸手市の「権現堂公園」は、
桜から始まり、菜の花、紫陽花、曼珠沙華、
水仙と四季折々の花見を楽しむことが出来ます。
土手一面に咲く「曼珠沙華」は、
平成12(2000)年から市民ボランティアが植え始め
現在では約500万本にまで増えたそうです。
 
岐阜県海津市「津屋川堤防
3kmに渡って咲き誇る10万本とも言われる
津屋川堤防沿いの「彼岸花」は
海津市の秋の風物詩です。
 
滋賀県高島市「桂浜園地
今津町の「桂浜園地」には、琵琶湖をバックに
真っ赤な絨毯を敷いたように「彼岸花」が咲く
光景が広がっています。
 
福岡県うきは市「つづら棚田
農林水産省の「日本棚田百選」に選ばれている
つづら棚田」には、黄金の稲穂と
約50万本の真っ赤な「彼岸花」が咲き乱れ、
そのコントラストはまさに絶景です!