金木犀(きんもくせい)

 
 

金木犀とは

秋風に乗って漂う甘い香りを漂わせる
花樹の「金木犀」(きんもくせい)は、
China・桂林が原産と言われる
モクセイ科モクセイ属の常緑樹です。
 
 
冬でも葉を落とさないので、
四季を通して緑が楽しめ、
庭木の他、公園や街路樹としても利用され、
甘い香りのするたくさんの橙色の花は
秋の訪れを知らせてくれるような存在です。
なお、原産国はChinaの桂林です。
 
 
漢字名「金木犀」の「犀」とは、
動物の「サイ」のことです。
キンモクセイの幹肌がサイの足に似て、
金色の花が咲く木だから
「金木犀」と名付けられたそうです。
 
 
学名「Osmanthus fragrans var. aurantiacus」の
「Osmanthus(オスマンサス)」は、
ギリシャ語の「osme(香り)」と「anthos(花)」が
語源となっています。
「fragrans」は「芳しい香り」、
「aurantiacus」は「橙色の」を意味しており、
学名から「金木犀」の特徴をうかがい知ることが出来ます。
「金木犀」はその芳醇な香りから、
「沈丁花」(じんちょうげ)「クチナシ」と並ぶ
「三香木」のひとつに数えられる秋の花です。
 
 
「金木犀」の華やかな香りは1週間程続きますが、
その後は再び元の木に戻ってしまいます。
その甘い香りが消え去ると、間もなく晩秋が
訪れます。
 
 

金木犀の仲間

橙黄色の花「金木犀」(きんもくせい)
類似した植物には、
白い花を咲かせ、香りが少ない
「銀木犀」(ぎんもくせい)
春と秋に黄白色の花をつけ、
ほとんど香りがなく淡い黄色の
「薄黄木犀」(うすぎもくせい)
「金木犀」にちょっと遅れて咲き始める
触ったら痛いぐらいのギザギザの葉を持つ
「柊木犀」(ひいらぎもくせい)があります。
 
この中で花後に結実するのは、
「薄黄木犀」(うすぎもくせい)だけです。
 

日本では比較的新しい植物

 
日本に「金木犀」が渡来したのは、
江戸時代とされていますが、
『万葉集』(7~8世紀)や『下学集』(15世紀)など
江戸時代より古い時代にも
関連していると思われる記載があるため、
正確な年代は不明です。
 
「金木犀」の名が初めて明確に登場する書物は
江戸時代(18世紀)に書かれた『広益地錦抄』
なので、江戸時代渡来説もあります。
牧野富太郎博士の記録では、明治35(1902)年に「金木犀」が輸入されたとあります。
どの説が正しいかは定かではありませんが、
日本では比較的新しい植物と考えてよいと
思われます。
そのため、詩歌に詠まれるのは明治以降です。
 

金木犀は植えてはいけない

 
秋に目で楽しませてくれ、
香りで楽しませてくれる「金木犀」は、
庭木としても人気の高い樹木です。
しかし、生育旺盛のため、環境によっては
高さ10~18m、直径50cm~1mの大木に
生長することもあります。
また、地面に散った「金木犀」の花は、
金色の絨毯のようですが、
掃除がしにくいのが難点です。
そのため「金木犀」は植えてはいけないとも
言われています。
 

縁起の良い木

 
Chinaでは「金木犀の開花は幸せを呼ぶ」と
言われ、「縁起の良い木」と言われています。
太陽を象徴するオレンジ色の花は、
風水でも人気で、
裏鬼門である南西の方角に植えると、
金運アップを狙えるそうです。
南西の他、北東・東・東南に植えても
運気を上げると言われています。
 

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