榊(さかき)

神社でのお祭りはもちろんのこと、
神棚にも欠かせない「榊」(さかき)
木に神と書いて「榊」という字を
見ても分かる通り、
「榊」は神道において
神と深い関わりのある神聖な植物です。
 
 

榊(サカキ)の基本情報

「榊」は暖地の山林に自生する
ツバキ科の常緑樹です。
 

・科・属:ツバキ科サカキ属

・和 名:ホンサカキ、マサカキ

・英 名:Cleyera japonica Thunb.

・学 名:Cleyera japonica

・原産地:日本・朝鮮半島・台湾・China

 

名前の由来

・神様の聖域と人間世界との
 「境」を示すための木「境木」(さかいぎ)

・常に葉が緑で「栄える」木を意味する
 「栄木」(さかき)

・神聖な木を意味する「賢木」(さかき)

 
これらが転じたとするものです。
元々、「榊」は固有の植物名ではなかったようで
後に、特定の木を指して
「榊」(さかき)と呼ぶようになったようです。
 

榊を神社で使う意味とは?

昔の人々は先端の尖った植物が
「依代」(よりしろ)になり、
その植物を介して
神と交流することが出来ると考えていました。
そのため、葉先が尖っていて、
広く自生している「榊」(さかき)
神事に使われました。
 
雷が尖った植物に落ちることも、
神が尖った場所に降りるイメージが
根付いた一因かもしれません。
このような経緯から、
神様が宿る「依代」としての意味を持つ
「榊」を神前にお供えするようになりました。
 

縁起が悪い⁈

榊は、神社の庭木として好まれ、
「玉串」として神事に用いられることから、
俗界(一般家庭)に植えることを遠慮する
傾向があります。
そうした遠慮が転じて、
「縁起が悪い」とする説が生まれたのです。
 

そもそも「サカキ」とは?

一般に「榊」(さかき)と言われているものには
実は2種類あります。
「本榊」(ほんさかき)と「ヒサカキ」です。
 
「本榊」(ほんさかき)
育成しない地域(主に東日本)では、
「榊」の代用品でまかなわざるをえません。
そしてそういった地方では、神棚に祀る植物を
「サカキ」と呼ぶようになったのです。
 
そのため地方によって
「サカキ」の指す植物は違ってきます。
「ヒサカキ」であったり、
「ツバキ」であったり、
「楠」(くすのき)であったり、
「杉」を「サカキ」とする地域もあるようです。
 
このような事情があるため、
本来の「サカキ」を指すために
「サカキ」の前に「本」とか「真」を付けて
区別することになったようです。
 
ヒサカキ
「ヒサカキ」は「本榊」と同じ
ツバキ科の植物です。
本榊と比べて葉が少し小ぶりで、
辺縁がギザギザしています。
「ヒサカキ」と言われる由来は、
「本榊」ではないという意味で
「非榊」(ひさかき)とする場合や、
「本榊」よりも葉っぱが小さいので
「姫榊」(ひさかき)と言われるなど、
諸説あります。
 
サカキの見分け方!
葉のまわりがギザギザしているのが
「ヒサカキ」、
滑らかなのが「本榊」です。
 
「ヒサカキ」のように
葉の縁がギザギザになっていることを
「鋸歯縁」(きょしえん)と言います。
 
 
「本榊」の葉のように
滑らかになっていることを
「全縁」(ぜんえん)と言います。
 
 
「ヒサカキ」の花は「本榊」よりも早く、
3~4月に咲きます。
また、遠くまで届く
独特の強い匂いがあります。
また「ヒサカキ」の実は、
染料として使われていたそうです。
 
 

神棚の榊を交換するタイミング

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毎月1日と15日の2回です。
これは、1日と15日が
神道で縁起が良い日とされているからです。
神社で祭事が行われる日でもあり、
月参りに神社に行く際も
同様の日付が好ましいとされています。
 
万が一、枯れてしまった場合や
葉が垂れてきたりした場合は
すぐに新しい「榊」に替えて下さい。
造花の「榊」をお供えするのが
良いのか悪いのかについては、
お供えする方の気持ちの問題です。
 
memo
右の「榊」が先に枯れることは
「吉兆」だと言われています。
「榊」に宿っている神様は左右で違います。
左側の榊には「先祖の神様」、
右側の榊には氏神様が宿るとされています。
そのため、右の榊が枯れると、
氏神様が自分達を守るために働いてくれて
いると考えられています。
逆に、左側の榊が枯れるのは、
先祖との縁が薄いためと言われています。
 
 

切り花の「サカキ」を長持ちさせる方法

 
1. 容器を清潔にしよう!
「榊」を飾る容器「榊立」(さかきたて)は、
口が細くなっている形状のものが多く
洗いにくいため、雑菌が繁殖しがちです。
出来れば毎回の水替えの際に、
漂白剤で殺菌しましょう。
夏場は特に、水を多く入れ過ぎないことも
大切です。
水を沢山入れ過ぎると、
雑菌が繁殖しやすいだけでなく
水温の上昇によって「榊」が弱る原因と
なります。
 
2. 「榊」も洗ってあげよう!
水を変える時には、容器だけでなく
「榊」自体も洗ってあげましょう。
「榊」の束を1本1本に解し、
流水でキレイにします。
食器洗い用の中性洗剤をつけた
ペーパータオルで拭いた後、
流水で流すのもよいでしょう。
 
3. 乾燥させないようにしよう!
「榊」は乾燥が苦手です。
特に葉が乾くと元気がなくなりがちですので
注意しましょう。
エアコンの風などが
直接当たらないように気を配り、
霧吹きなどでたっぷりと葉水を与えてやると、保ちが随分違います。
 
 
最近は「榊」や仏花を長持ちさせるための
専用の薬品も市販されていますので、
必要そうなら試してみるのも一つの手かも
しれません。
 

「サカキ」を自宅で増やそう
- 榊の挿し木の方法-

切花の榊を買って挑戦してみましょう。
6月下旬から7月上旬の梅雨時期が最適です。
 
まずはポット苗に土を入れて挿し木をして、
根が出たら、鉢に植えましょう。
挿し木後は、直射日光を避けた明るい場所で、
空気穴を空けた透明ビニールで覆い
湿度を保ちます。
榊は、薄暗い林の中のジメジメとした場所に
生えています。
水切れに弱いことに注意しましょう。
 
 

榊の花言葉

「控えめな美点」「揺るがない」「神を尊ぶ」
神棚に供えられるなど、
神事に欠かせない植物であることから、
「神を尊ぶ」という花言葉が付けられました。
 
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