「玉串」(たまぐし)は、みずみずしい榊の枝に、
紙垂(しで)や木綿(ゆう・麻のこと)を付けたものです。
神職や参拝者が神様に拝礼する時に捧げます。
地方によっては、榊の代わりに、
杉、樅、ヒバなど、
その土地とゆかりの深い植物の玉串が使われています。
神前にお供えするものとして、
米・酒・魚・野菜・果物・塩・水等の
「神饌」(しんせん)と同様の意味があると考えられています。
「神饌」(しんせん)と異なる点は、
「玉串拝礼」という形で、
自らの気持ちを込めて供え、お参りをするということです。
「神饌」も勿論、注意して選び、心を込めてお供えするのですが、
「玉串」は祭典の中で捧げて拝礼することから、
格別な意味を有するものであることが分かります。
また、祝儀袋や不祝儀袋に「玉串料」と記すのは、
玉串の代わりに金品を納めるという意味です。
<玉串拝礼の作法>
- 玉串を受け取る。右手は上から、左手は下から持つ。
- 胸の高さに持ち、神前の玉串案(台)の前に進み、
軽く一礼する - 玉串を時計まわりに廻して、立てる
- 左手を下げ、祈念を込める。
- 左手で玉串の根元を時計まわりに廻す
- 左手で玉串の根元を時計まわりに廻す
- 右手は玉串の真下に添える。
- 右手は玉串の真下に添える。
- 左手で玉串の根元を時計まわりに廻す、
右手は玉串の真下に添える - 右手は玉串の真下に添える。
- 玉串を案にのせる。
- 案の前に立ち、二度深く礼をする(二拝)
- 二度拍手を打つ
(先に両手を合わせ、右手を少しひいてから拍手を打つ) - 一度深く礼をする(一拝)
- 軽く一礼
「玉串」の由来は、「神籬」(ひもろぎ)とも関連して、
『古事記』の「天の岩戸隠れの神話」に求められるものと
言われています。
「神籬」(ひもろぎ)とは、
神道において神社や神棚以外の場所で祭祀を行う場合、
臨時に神を迎えるための依り代となるものです。
すなわち天照大御神の岩戸隠れの際に、
神々が行った祀りでは「真榊」(まさかき)に玉や鏡などをかけて、
天照大御神の出御を仰いだことが記されています。
その語源には幾つかの説があり、
本居宣長は、
その名称の由来を神前に手向けるため「手向串」とし、
供物的な意味を有するものと解しています。
平田篤胤は、
本来は「木竹(串)」に玉を着けたものであったために
「玉串」と称したと述べています。
六人部是香は
「真榊」が神霊の宿ります料として、
「霊串」の意があるなどとしています。
こうしたことから「玉串」は、
「神籬」(ひもろぎ)と同様に神霊を迎える依代(よりしろ)であり、
また「玉串」を捧げて祈る人の気持ちが込められることにより、
祀られる神と祀る人との霊性を合わせる仲立ちとしての役割を果たす
供物であるということが出来るのではないでしょうか。