菜の花

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春、一面に広がる黄色い菜の花畑は、
代表的な春の風物詩です。
実は「菜の花」という名前の花はなく、
アブラナ科アブラナ属に分類される植物の黄色い花の総称で、
「花菜」(はなな)とも呼ばれています。
 
 
菜の花

 
普段よく見ている「菜の花」は、
アブラナ、西洋アブラナ、芥子菜ですが、
白菜、蕪、大根、小松菜、水菜、青梗菜、
ブロッコリー、キャベツなどといったアブラナ科の野菜も、
よく似た黄色い花を咲かせます。
 
因みに、店頭で販売されている菜の花の多くは、
食用に開発された「菜花」(なばな)という品種です。
 
春が近づき暖かくなって来ると、
早ければ立春前から花茎を伸ばし、
黄色い花をぽつぽつと花を咲かせ、
子孫を残す準備を始めます。
 

 
花茎のことを「董」(とう)と言い、
これが伸びてくることを「薹立ち」(とうだち)と言います。
「薹立ち」(とうだち)とが始まると
そちらに全てのエネルギーを注ぐため、
根の部分はスカスカに(これを「ス」と言います)、
茎や葉は固くなり、苦味やえぐみを出すようになります。
但し、この苦味やえぐみが味わいとなり好まれるものですから、
全く珍しい野菜です。
 
 
菜の花の歴史

 
「油菜」(あぶらな)の原種は、
西アジアから北ヨーロッパの大麦畑に生えていた雑草で、
農耕文化と共に渡来していったと考えられています。
 
古代Chinaには、シベリア経由で紀元前に既に伝播しており、
日本では弥生時代以降から利用されたとみられています。
飛鳥・白鳳時代(7世紀末)には、
「あおな」「かぶら」「をちと」呼ばれ、
花芽を食用にする習慣がありました。
『古事記』では「吉備の菘菜(あおな)」、
『万葉集』では「佐野の茎立(くくたち)」として登場しています。
 
室町時代の後半になると搾油法が考案されて、
食用以外にも、行灯や食用の油、油かすは肥料として利用されていきます。
江戸時代には、燃料「菜種油」としての利用が多くなりました。
 

 
明治時代以降は、在来種から「西洋アブラナ」に置き換わり、
栽培面積も増加していきます。
現在、植物油の原料として栽培されているのは、
そのほとんどが別種の「西洋アブラナ」であり、
在来種のアブラナは野菜として生産されて、
開花前に収穫されてしまうことが多いそうです。
 
食用の菜の花(菜花)

「和種」と「西洋種」の2つの種類があります。
「和種」は、花茎・蕾・葉を食べるのに対して、
「西洋種」は、主に花茎や葉を食べます。
 
また、菜の花は植物油の原料にもなり、
「油菜」(あぶらな)、「菜種」(なたね)とも呼ばれます。
植物油の原料として栽培されているのは、
ほとんどが「西洋油菜」(せいようあぶらな)という品種です。
 
菜の花の選び方
菜の花は、葉や茎が軟らかくて、張りがあるものが新鮮です。
切り口がみずみずしいものはより鮮度が良いので、
確認してみて下さい。
鮮度が落ちてしまった菜の花は乾燥し、
切り口が白っぽくなっていて空洞があります。
花が開いたものは苦味が強くなっていて食感も悪いため、
なるべく蕾が小さく締まっているものを選んで下さい。
 
菜の花の名所

【北海道】江部乙えべおつ丘陵地
北海道の滝川市にある江部乙丘陵地の「幸せ色の丘」には、
菜の花の絶景花畑が広がり、
たきかわ菜の花まつり」が開催されています。
 
【青森県】横浜町
例年5月頃に、菜の花で出来た黄色の絨毯が見られます。
毎年5月中頃の土日に「菜の花フェスティバル」が開催され、
菜の花大迷路や菜の花マラソンなどのイベントが行われます。
 
【宮城県】大崎市・ひまわりの丘
夏はひまわりが楽しめる「ひまわりの丘」。
春には約200万本の菜の花が咲き誇り「菜の花まつり」も開催され、
菜の花を使ったお菓子やアイスなどが販売されます。
 
【秋田県】八郎潟干拓地・菜の花ロード
菜の花ロード」沿いに咲く黄色い菜の花と、
同じく道沿いに植えられている
ピンクの桜、黒松とのコントラストが見事!
総面積約11.2haの菜の花が咲く花畑では
桜と菜の花まつり」が行われます。
 
【栃木県】真岡市 SL・桜・菜の花街道
真岡鐵道真岡線の北真岡駅から約1km続く
桜と菜の花の中を走るSLを見ることが出来ます。
SLの運行は基本的に土日祝です。
 

 
【千葉県】小湊鉄道・いすみ鉄道
房総半島を走る千葉県のローカル線の小湊鉄道いすみ鉄道は、
菜の花を観賞できるスポットが路線沿いに点在するので、
春のお出かけにぴったりです。
小湊鉄道の一部で里山トロッコが3月から運行予定で、
窓なしの展望車から菜の花を堪能することも出来ます。
 

 
【東京都】葛西臨海公園
3月頃には、約6400㎡のエリアが、
約10万本の菜の花で埋め尽くされます。

 
【東京都】浜離宮恩賜庭園
高層ビル群の中に、約30万本の菜の花が咲き誇り、
都会ならではの風景が楽しめます。

 
【東京都】国営昭和記念公園
玉川上水口と昭島口の間のエリアにある、
原っぱ東花畑」の北側に菜の花が咲きます。
 
【長野県】菜の花公園
唱歌「朧月夜」のモチーフになったと言われている
千曲川周辺のスポット。
- 朧月夜 -
高野辰之 作詞
岡野貞一 作曲
♫ 菜の花畠に 入日薄れ
  見わたす山の端 霞ふかし
  春風そよふく 空を見れば
  夕月かかりて におい淡し
 
♫ 里わの火影も 森の色も
  田中の小路を たどる人も
  蛙のなくねも かねの音も
  さながら霞める 朧月夜
 
高野辰之は、『故郷』『春の小川』『紅葉』などの
作詞でも知られる作詞家で、
飯山市は母親と夫人の実家があり一時住んでいた場所です。
菜の花公園には「朧月夜」の碑があります。
いいやま菜の花まつり」が開催されています。
 
【長野県】中山高原
NHKの朝ドラ「おひさま」のロケ地として有名になったスポット。
天気が良ければ、残雪の北アルプスをバックに、
菜の花畑を眺めることが出来ます。
 
【新潟県】水の公園 福島潟
日本の重要湿地500」や「21世紀に残したい日本の自然百選」
などに選ばれている、自然豊かな福島潟に面した公園では、
一面菜の花で埋め尽くされ、黄色い絨毯が広がります。
 
【静岡県】南伊豆町
町内にある広さ約3haの「元気な百姓達の菜の花畑」では、
一面華やかな菜の花が咲き誇ります。
2月から3月にかけて町内では
みなみの桜と菜の花まつり」が開催され、
事前応募で選ばれた1組のカップルが挙式する
「菜の花結婚式」などのイベントが実施されます。

 
【愛知県】渥美半島・伊良湖岬
田原市内では、約25haの土地に約1,200万本の菜の花が咲き誇り、
1~3月に「菜の花まつり」が開催されます。
メイン会場の伊良湖菜の花ガーデンは、
約200万本の菜の花の他にシュロの木も植えられており、
南国ムードが漂うスポットです。
 
【滋賀県】第1なぎさ公園
琵琶湖の湖東に位置する守山市第1なぎさ公園には、
1万本以上の早咲きの菜の花が咲き誇ります。
雪が残った比良山系とのコントラストが美しい絶景スポットです。
 
【兵庫県】あわじ花さじき
海を望む小高い丘にある花の名所で、
春は菜の花やムラサキハナナ、夏はひまわり、秋はコスモスなど、
季節ごとに異なる花畑が高原を彩ります。
菜の花は、早咲きから遅咲きまで、幅広い品種が植えられています。

 
【奈良県】藤原宮跡
5つある花ゾーンのうち、「春ゾーン」約25,000㎡には、
約250万本の菜の花で作り出される鮮やかな黄色の絨毯が広がります。
タイミングが合えば、桜も一緒に楽しめるスポットです。
 
【奈良県】稲渕の棚田
「日本の棚田百選」にも選ばれている「稲渕の棚田」には、
四季折々の花が咲き、
春は黄色い菜の花、秋は赤い彼岸花が楽しめます。
 
【岡山県】備中国分寺
田園風景の中にそびえ立つ五重塔と、
周辺に咲き乱れるレンゲやひまわりなどの花々との
コラボレーションを見ることができます。
例年冬の初めから春の初め頃まで菜の花が咲き誇ります。

 
【愛媛県】レスパス・シティ
レストランやショッピングモール、温泉などが楽しめる
複合商業施設「レスパス・シティ」のすぐ近くには、
広さ約1.8haの花畑があります。
3月上旬~4月上旬にかけて一面菜の花で黄色くなり、
見奈良菜の花まつり」が開催されます。
 
【愛媛県】翠波高原すいはこうげん
四国山脈や瀬戸内海が見渡せる絶景スポット「翠波高原」は、
菜の花で埋め尽くされます。
翠波高原 菜の花まつり」が開催されます。
 
【愛媛県】国道378号・JR予讃線
伊予市双海閏住(うるすみ)地区を走る国道378号と、
海の見えるフォトジェニックな駅として有名な下灘駅を通る
JR予讃線周辺に菜の花が植えられています。
毎年開催される「しおかぜウォークなのはな大会」では、
黄金の絨毯を敷き詰めたように菜の花が咲く景色を眺めながら、
柔らかな日差しを受けて、
伊予長浜駅から伊予上灘駅までの「菜の花街道」を歩きます。
 
【福岡県】のこのしまアイランドパーク
博多湾に浮かぶ能古島(のこのしま)の北端にあるこの公園は、
四季の花々が堪能出来るスポットで、
春は菜の花の他にポピーやつつじが一面を埋め尽くします。

 
【熊本県】100万本の菜の花園
国道324号沿線に位置する広さ約2haの田んぼに、
約100万本の早咲きの菜の花が咲き乱れます。
 
【大分県】由布市/大分川沿い
由布岳をバックに、黄色の菜の花とピンクの桜、
大分川とのコントラストが美しく、春の訪れを感じられるスポットです。
 
【宮崎県】特別史跡公園西都原古墳群さいとばるこふんぐん
数多くの古墳が点在する西都原古墳群には、
約30万本の菜の花と約2000本の桜が植えられており、
黄色とピンクのコントラストを見ることが出来ます。
「西都花まつり」期間中は、
桜のライトアップや、露店が並び、花見客で賑わいます。