金縷梅(まんさく)

 
 
「金縷梅」(まんさく)は、日本を原産地とし、
沖縄県を除く日本各地の山野に生息する
マンサク科の落葉小高木です。
 
黄色い錦糸卵のような花が一斉に咲き、
葉が落ちている時期に花が咲くので、
花はとても目立ちます。
また、黄色の他にも、
赤い花びらのマンサクもあるそうです。
 
 
ドイツ人医師のシーボルトが
同国人の植物学者ツッカリーニと一緒に命名し、
1845年にヨーロッパに紹介しました。
 

名前の由来

「金縷梅」(まんさく)は、余寒の続く中、
他の花に先駆けるように
黄色い花が枝々を包むように
一斉に花を咲かせることから、
「まず咲く」が訛って
「マンサク」の名がついたとも言われています。
 
 
また漢字では「金縷梅」と書きますが、
「縷(ろう・る)」とは、
糸などの細長い物を指す漢字で、
マンサクの花びらが金属のリボンのように
見えることから生まれた名前です。
 

縁起樹

 
「金縷梅」は、他に先駆けて咲く、
春を呼ぶ縁起樹として愛されてきました。
 
また「金縷梅」は、漢字で「万作」「満作」と
書くこともありますが、
それはこの花が枝に手足を伸ばしたように
広がる格好で群がり咲くことから、
穀物の「豊年満作(万作)」の連想から
その名がついたとも言われています。
 
このように縁起が良いため、
農家では庭先に好んで植えてきました。
そしてその花の咲き方によって、
その年の農作物の出来を占ってきました。
花が上向きに咲けば「豊作」、
咲かないまたは花が少なければ「凶作」と
されていたそうです。
 
 
また、田んぼの縁に植えられた「金縷梅」は、
田の神が春に山から戻る際に宿る
「依代」(よりしろ)になると考えられて
いました。