蝋梅(ろうばい)

 
まだ寒い早春に可憐な黄色の花を咲かせる
「蝋梅」(ろうばい)は、China原産の落葉低木です。
 
Chinaでは、早春に花をつける「蠟梅」は、
「梅」「山茶花」「水仙」を加えて
「雪中四友」(せっちゅうのしゆう)と呼び、
縁起の良い花とされています。
風水では、黄色く香りの良い花をつけること
から、全体運や金運がアップするとも
言われています。
なお「蝋梅」と書きますが、
蝋梅からろうそくのロウは作りません。
 
 
また「蝋(臘)梅」と書きますが、
「蝋梅」と「梅」の仲間ではありません。
「蝋梅」がロウバイ科ロウバイ属で、
「梅」はバラ科サクラ属と、全く違う植物です。
 
 
また同じような時期に、よく似た黄色い花を
咲かせるものに「黄梅」(おうばい)がありますが、
こちらはモクセイ科ソケイ属です。
両者の違いは、「蝋梅」が落葉小高木で
透き通った花を咲かせるのに対し、
「黄梅」は蔓性落葉低木で、樹高は1~2m程度、
花は葉が出る前に咲き、6枚の花びらが
根元が合着した「合弁花」を咲かせます。
 
 
「蝋梅」の花は、花径2cm程と小さく、
外側が黄色、内側が暗紫色で光沢があります。花は枝の節に密接して俯き加減に咲かせるので
華やかさはありませんが、
何よりその香りは素晴らしく、
「四大香木」(よんだいこうぼく)の1つと
言われています。
 
 
可愛らしく、清楚感のある「蝋梅」の香りは
フレグランスグッズとしても大人気で、
化粧品や香水としてもよく使われています。
英名では「winter sweet」(ウィンタースウィート)
言います。
 
「四大香木」(よんだいこうぼく)
  ・春:沈丁花
  ・夏:クチナシ
  ・秋:金木犀
  ・冬:蝋梅
 
 
 
日本の「蝋梅」の歴史はそれほど古くなく、
江戸時代初期、後水尾天皇[1611-1629]の御代に
朝鮮半島から渡来した植物です。
 
 
Chinaから渡来したことから
「唐梅」(からうめ)とか「南京梅」(なんきんうめ)
と呼ばれることもあります。
また、花弁の色から「黄梅花」と呼ばれたり、
花弁の数が多いことから「九英梅」と呼ばれたり、
旧暦の12月を意味する「臘月」の頃に
開花することから「臘梅」と呼ばれるなど、
多数の別名があります。
 
 
Chinaでは、薬用としては「蕾」を用います。
生薬名を「蝋梅花」(ろうばいか)と言い、
頭痛や発熱、口の渇き、多汗などの改善、
皮膚の再生に効果があると言われています。