火打石(ひうちいし)

 
時代劇などで、出かける方の無事を祈って
「いってらっしゃい」と
カチカチと「火打石」を打つシーンを見たことがある方も
多いのではないかと思います!
 
今でも、ゲン担ぎや縁起の悪いことや危険な目に遭わないようにと
今でも伝統を重んじる職業の人、
例えば、芸能人や落語家、花柳界の方々、
勝負事の世界に身を置かれている相撲さん、
危険な業務に従事されている鳶職、大工さんなどの間では、
切り火を行う風習が残っているそうです。
 

 
火打道具は、
平安時代にはまだ庶民の手には届かない貴重な御神宝でしたが、
江戸時代になると一般庶民にも普及し、
竈や灯明、煙草の火などをつけるのに
さかんに使われるようになりました。
  
「火打石」は、
マッチのない時代の火起こし道具として使われていただけでなく、
「厄除け」や「縁起担ぎ」のためにも用いられてきました。
 

 
古来、火は清浄なものであると考えられ、
「火打石」を用いて火花を起こす切火を切り、
身を清めるお呪いおまじないとして使用されました。
邪悪は火を大変嫌うので、
切り火をすることで不浄を断ち、邪気を祓うのです。
 
「火打石」を使って、
出掛けに「いってらっしゃい」と切り火で送り出されるのは
清々しく気分のいいもの。
 
ご自身や身近な人の無事を祈り
カチカチと切り火を行ってみてはいかがでしょうか?
相手を思いやり贈る、
一風代わったプレゼントとしても人気なのだそうです。
 
 

切り火のやり方

 
切り火のやり方は、
利き手に「火打石」を持ち、
もう一方の手に「火打鎌」をなるべく水平にして持ちます。
 
「火打鎌」はあまり動かさず、
利き手に持った石の角で「火打鎌」の縁を削り取るように
勢いよく前方に向かって打ち付けると、
幾筋かの火花がはじけ飛びます。
この火花を清めたい場所や出掛ける人の後ろから
右肩口に2~3回カチカチと打ちかけるのが正式な作法です。
一見大変そうですが、
使い慣れるとカチッと一発で火種が出来、
炎が上がるまで10秒とはかからないのだそうです。
 


 

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