打ち出の小槌(うちでのこづち)

 
「打ち出の小槌」を振りながら、願い事をすると
どんな願い事でも叶えてくれると言われています。
昔話によく登場しますが、
鬼の忘れ物だったり、ネズミが引いて来たとか、
竜宮から持ち帰ったとか、いずれも異界からの届き物で、
不思議な力を備えています。
邪な心からの願いだと、叶えられた願いは崩れ去ってしまうようです。
 
 

一寸法師

「打ち出の小槌」が登場する昔話というと、
『一寸法師』があります。
鬼が落としていった小槌を、
姫が一寸法師に向かって「大きくな~れ」と振ると、
身の丈があれよあれよという間に大きくなって、
立派な武士になりました。
 
 

大黒天

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七福神のひとり、「大黒天」も打ち出の小槌を持っています。
大黒天は財運福徳を司る神様と言われ、
打ち出の小槌は富をもたらす象徴で、
金運アップが期待出来たり、福を呼び込む縁起物と言われています。
 
 

打ち出の小槌の伝説

昔、芦屋の沖に竜神が住んでいました。
この竜神が人に化身して、朝廷に小槌を献上したそうです。
この小槌は、打ち振ると何でも願い事が叶うという大切な宝物。
この宝の小槌が、
どうしたことからか、打出の長者の手に伝わりました。
昔、都で仕えていた時に手柄を立てたので
褒美に貰ったと言われています。
 
この小槌は、この上ない宝物でしたが、
ただ一つ困ったことに、
小槌を振っている最中に鐘の音が聞こえてくると、
出てきた物が全て消えてしまうと言われています。
「打出」の地名は
打出の小槌の伝説から名付けられたという説があります。
 
また、別の説もあります。
「打出」は昔から交通の盛んな所で、
京都から伊丹を通る旧西国街道は、
「打出」に来て初めて海辺に打ち出します。
つまり、ここで海を目の当たりにするのです。
海に打ち出た所で潮の香りや漁師の舟を見た人は
強く印象づけられたのでしょう。
こうして打出の地名は有名になっていったとも言われています。
 
阪神打出駅の南東側には「打出町」が、北西側には「打出小槌町」が、
それぞれ地名として残っています。
 

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