バウムクーヘン

 
 
ドイツ語で「木のケーキ」を意味する「バウムクーヘン」。
重なる生地が年輪のようで、「繁栄」と「長寿」の意味があり、
縁起物としても重宝されています。
 
 

ドイツ発祥の木のケーキ

日本でもお馴染みの洋菓子「バウムクーヘン」は
ドイツ発祥の「木のケーキ」(BAUM=木、kuchen=ケーキ)。
「バームクーヘン」の断面はまるで年輪の模様のように見えます。
年輪には「幸せを重ねていく」という意味があり、
幸福の象徴とされています。
 
「バウムクーヘン」は、
細長い棒に生地を巻いて、くるくる回しながら焼き上げ、
焼き終わると更に生地を巻いて太くしていきます。
美しい層を重ねていくには技術を要するため、
ドイツでは精密に作られた年輪の「バウムクーヘン」は、
作った職人の技術の高さを象徴するものにもなっています。
 
しかし製造するためには、
特殊な技術と専用の機械が必要である上に、
「ドイツ国立菓子協会」による厳しい定義を守らなければ
「バウムクーヘン」としての販売することが出来ないため、
本場ドイツでは一般的な街の菓子店では扱っている店は少なく、
日本ほど一般的な存在ではないようです。
 
「バウムクーヘン」の定義
  1. 油脂はバターのみしか使わないこと
  2. ベーキングパウダーを使用しないこと
  3. バター・小麦粉・砂糖1に対して、卵を2とすること
 
 

ユーハイム

 
日本のバウムクーヘンの歴史は、
大正8(1919)年にドイツ人菓子職人・カール・ユーハイムが
広島で日本初のバウムクーヘンを焼き上げたことから始まりました。
 
カール・ユーハイムは、明治42(1909)年から
ドイツの租借地であったChina青島で店舗を構えていましたが、
第一次世界大戦時に捕虜として日本に渡り、
大正8(1919)年、広島の広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)で、
ドイツ俘虜製作品展覧会(似島独逸俘虜技術工芸品展覧会)で
初めてバウムクーヘンを出品し、好評を博しました。
 
カールはその後、東京・銀座の明治屋で働き、
妻子を呼び寄せ、大正11(1922)年に横浜で店を開きますが、
関東大震災をきっかけに神戸へと移りました。
その時から、ユーハイムの本店は神戸となっています。

ユーハイムのバウムクーヘンは
現在も「ドイツの伝統的な製法」が受け継がれていますが、
日本のバウムクーヘンにはこういった明確な定義はなく、
サイズや形、味等に工夫を凝らした様々なバウムクーヘンを製造。
洋菓子店は勿論、スーパーやコンビニでも売られており、
贈答用だけでなく普段使いのお菓子としても親しまれています。
今や、日本は本場ドイツを凌ぐバウムクーヘン大国になっています!
 

「バームクーヘン」?「バウムクーヘン」?

要は、外来語をカタカナ表記した時のズレです。
前述の通り、
「バウムクーヘン」はドイツの伝統菓子「Baumkuchen」。
ですから、
  • ドイツ語的に言うなら「バウムクーヘン」
  • 日本語的にいうなら「バームクーヘン」
どちらも間違ってはいないのです。
自分の言いやすい、書きやすい方で良いということです。
 
ただ、「バウムクーヘン」と「バームクーヘン」を一緒にしないで!
という意見もあります。
これも前述の通り、
ドイツでは「伝統的な製法」により作られたものだけが
「バウムクーヘン」だからです。
 
まあ、「バウムクーヘン」として売っているものは
お店の意思を尊重して「バウムクーヘン」、
後は好きに言えばいいのではないでしょうかねえ。
私は何となく「バームクーヘン」と言い、
「バウムクーヘン」と書いてしまっています。
 

 

 

バウムクーヘンが縁起がいい理由

 
「引き菓子」として入れられることの多い「バウムクーヘン」は
その幾重にも重なった層と、丸い形から、
「幸せを重ねる」「長寿」「繁栄」などの意味が込められているのだとか。
特に結婚式では、二人が夫婦となって
「年輪を重ねていくようにいつまでも仲良く途切れることなく、
 年月を共に重ねられますようにと…」願いが込められています。
また、積み重なった年月を連想させ、
無病や長寿を叶えるものとして「退職記念」に贈られることもあります。
 

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