ミモザ

 
 
2月〜4月上旬、小さな黄色いボンボンのような
ふさふさの花を枝一杯に付ける木と言えば、
「ミモザ」です。
 
日本には明治初期に渡来しました。
ところで日本で一般的に
「ミモザ」として流通しているのは、
マメ科アカシア属に分類される
オーストラリア原産の常緑高木の
正式名「ギンヨウアカシア(銀葉アカシア)」
です。
 
ところが元々、植物学での「ミモザ」は、
マメ科オジギソウ属南米原産
含羞草おじぎそう」(学名:Mimosa pudica)です。
その名の通り、触れられると
お辞儀するように葉を閉じる性質があり、
古くから世界中に繁殖し、ヨーロッパでは、
「ミモザ」の名で親しまれていました。
 
ヨーロッパにオーストラリア原産の
「アカシア」が渡来すると、
花の色は「アカシア」が黄で
「含羞草」はピンクと異なるものの、
葉の形がよく似ていたことから、
この植物を「ミモザに似たアカシア」の意味で
「ミモザアカシア」と呼ぶようになり、
それがいつしか略称の
「ミモザ」の名が定着しました。
 
なお、アカシア属の中でも、
日本では「ギンヨウアカシア」を、
欧米では「フサアカシア」を
「ミモザ」と呼ぶケースが多いです。
 

ミモザ(アカシア)

オーストラリア原産の常緑高木
「ミモザ(アカシア属)」に分類される植物は
たいへん多く、世界に約1000種程あると
言われています。
近頃では多くの個性的な品種が登場して
人気を高めています。
 
ギンヨウアカシア(銀葉アカシア)
 
羽状の美しい銀灰色の
「シルバーリーフ」の葉の独特の風情を
一年を通して楽しむことが出来ることから、
庭木として人気があります。
 
 
花期は2月から3月、
鮮やかな黄色の花が房状に咲きます。
また様々な花卉関連の商品や、
切り花や押し花、ドライフラワーの素材にも
よく用いられています。
 
 
日本では、伊豆や房総など太平洋側の暖地で
栽培されています。
 
フサアカシア
 
「ギンヨウアカシア」に比べ
格段に長い小葉を持ち、数も多く、濃い緑色。 花もギンヨウアカシアに比べて大ぶりで、
咲き始めが早いのが特徴です。
 
 
また「ギンヨウアカシア」にはない
濃厚な香りを有しており、
香料の原料にもなります。
 
 
パールアカシア
 
ビロードのような光沢感のある
丸みを帯びた葉が可愛らしく、
アレンジの材料としてもお馴染みです。
花の色は薄めのレモンカラーです。
 
 
小型で育てやすく、
楚々としたすっきりとした印象なので、
庭木だけでなく鉢植えでも人気です。
 
三角葉アカシア
 
三角形の形をした「シルバーリーフ」の葉で、
ナイフのようなシャープな印象をしているため、
英名は「ナイフリーフワトル」です。
全体として見ると
ギザギザしたような枝ぶりが面白く、
花が咲いていない時期も観賞価値があります。
「ギンヨウアカシア」より若干遅咲きです。
 
 

「ミモザ(アカシア)」に因む
世界の3つのイベント

「ミモザ(アカシア)」は世界的に
春を告げる花の代表格です。
そのため「ミモザ」に因んだお祭り(イベント)が
世界各地で行われています。
 
オーストラリアの国花
「ゴールデン・ワトル」
 
「ミモザ」の原産地はオーストラリアで、
「ワトル」と呼ばれています。
その種類は1000種類以上もあるそうです!
 
オーストラリアでは国花にも指定され、
「ゴールデン・ワトル」とも呼ばれて、
日本の桜のような存在として
多くの国民に愛されています。
 
 
「ゴールデンワトル」の葉と花の色に因んだ
「緑とゴールド(黄色)」は
ナショナルカラー(国の色)であり、
ラグビーの強豪として有名な
オーストラリア代表チーム「ワラビーズ」の
シンボルカラーにもなっています。
 
 南半球にあるオーストラリアでは、
「ワトル」の花の盛りは9月。
毎年9月1日の「ワトル・デー」には、
人々は「ワトル」の花や枝を身につけて
冬を見送り、春を迎えます。
 
イタリアでは
3月8日は「ミモザの日」
 
イタリアでは3月8日は
FESTA DELLA DONNAフェスタデラドンナ=女性の日」と言って、
男性がお母さんや妻、同僚など
普段お世話になっている女性に
日頃の感謝を伝えるために、
旬のミモザをプレゼントする風習があり、
3月8日は「ミモザの日」とも呼ばれるように
なりました。
そのイタリアで1922年に初めて
「国際女性デー」が祝われ、
その後「国際女性デー」の
シンボルになったのだそうです。
 
 
因みにイタリアでの花言葉は「感謝」。
これは「ミモザの日」が親しまれている
イタリアならではの花言葉です。
 
フランス
「ミモザ祭り」
豪州から仏国に最初に「フサアカシア」が
もたらされたコードダジュールの
モンドリューラナプールでは、
毎年2月に「ミモザ祭り」が開催されています。
 
 
ミモザを飾り付けた山車が街を練り歩く、
「フラワーパレード」が一番の見所で、
「ニースのカーニバル」
「マントンのレモン祭り」と並ぶ
「南仏三大祭り」に数えられています。
 
 
なお、香水で有名なグラースに至る
「ミモザ街道」は観光ルートとしても
人気です。