毎月18日は観音様の縁日です。
中でも年の初め、1月18日の観世音菩薩の縁日は、
「初観音」と言って多くの信者が参詣する日で、
観音様を本尊とする寺では、様々な行事が行なわれます。
ところでなぜ観音様の縁日は18日になったのでしょうか。
宮戸川(今の隅田川)のほとりに住む
檜前浜成・竹成兄弟が漁をしている最中、
投網の中に一躰の像を発見します。
仏像のことをよく知らなかった浜成・竹成兄弟は、
仏像を網から外して水中に投げ入れ、
場所を変えて何度か網を打ちました。
ところがその度にこの仏像が網にかかるばかりで、
魚は捕れなかったので、
兄弟はこの仏像を家に持ち帰り、
土師中知(名前には諸説あり)という土地の長に見てもらいました。
すると聖観世音菩薩の像であることが分かったことから、
翌朝、里の童子達が草でつくったお堂に、この観音様をお祀りしました。
これが「浅草寺」の御本尊となりました。
この「聖観世音菩薩像」が現れたのが
飛鳥時代、推古天皇36(628)年3月18日の早朝であったために、
観音様の縁日は18日になったという説があります。
また他の説によると、西暦900年代に定められた
「三十日秘仏」(さんじゅうにちひぶつ)という暦では、
それぞれの日にちに仏様が割り振られていて、
これが現在の縁日の基礎となっており、
観音様は18日に当たっているためというものです。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
定光仏 妙見菩薩 |
多宝仏 | 阿閃仏 | 弥勒菩薩 水天宮 |
二万灯明仏 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
三万灯明仏 千手観音 |
薬師如来 八幡宮 |
大通智勝仏 | 日月灯明仏 金毘羅様 |
歓喜仏 | 難勝仏 薬師如来 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
虚空蔵菩薩 日蓮聖人 |
普賢菩薩 | 阿弥陀如来 妙見菩薩 |
陀羅尼菩薩 閻魔王 |
龍樹菩薩 青龍権現 |
観音菩薩 鬼子母神 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
日光菩薩 七面天女 |
月光菩薩 | 無尽意菩薩 飯縄権現 |
施無畏菩薩 | 大勢至菩薩 | 地蔵菩薩 愛宕権現 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
文殊師利菩薩 天満天神 |
薬上菩薩 | 盧遮那仏 | 大日如来 不動明王 三宝荒神 |
薬王菩薩 | 釈迦如来 |
「初観音」の日は、
どこの寺院でも特別な行事を行います。
中でも有名なのは、
京都の「三十三間堂」で行われる
「楊枝のお加持」(やなぎのおかじ)です。
「三十三間堂」は、
後白河上皇が自分の離宮の敷地内に建てたものです。
上皇は長年ひどい頭痛に悩んでいました。
何とか頭痛を解消したいと神仏に祈願していたところ、
夢のお告げがありました。
その夢によれば、
上皇の前世は「蓮華坊」という僧侶でしたが、
亡くなった後に、
その髑髏(頭蓋骨)が川底に沈み、目穴から柳が生え、
風が吹く度に柳が動き、上皇の頭痛を起こしていたというのです。
川底から髑髏(どくろ・しゃれこうべ)を引き上げて、
柳の木を梁に使うと上皇の頭痛は見事に治りました。
この言い伝えから、
「三十三間堂」は頭痛を治す御利益があるとされ、
毎年「楊枝のお加持」(やなぎのおかじ)が行われるようになりました。
観音様に祈願をした聖なる水を柳の枝で参拝者に振りかけると
頭痛を始めとする様々な病気を除くと言われています。
またこの日、「三十三間堂」では「大的大会」が行われます。
これは江戸時代の「通し矢」を由来とする旧道の大会ですが、
弓道を嗜む新成人が晴れ着姿で弓を引く場面は、
とても華やかで、ニュースでも取り上げられています。