ハタハタ

 
秋田県の名産品である「ハタハタ」。
「鱗なし」「小骨なし」「身離れよし」の
3拍子揃った、優れものです。
 

ハタハタとは?

 
「ハタハタ(鰰・鱩・斑斑)」は、
オホーツク海や島根県以北の
日本海、北海道の太平洋沿岸などに分布し、
水深100〜500m程の海底に生息する
スズキ目ハタハタ科の深海魚です。
 
体長15〜20cm程と小ぶりで、
鱗や浮袋がないのが大きな特徴です。
背の部分には「斑斑」(はんぱん)という
褐色のまだら模様があります。
 
目が上向きで、
口が受け顎になっていますが、
これは、日中は砂に潜って
目だけを出して休んでおり、
夜間に活動を始めて
小動物などを捕食するためです。
 
秋田県の名産として知られ、
秋田県の県魚にもなっています。
 

名前の由来

雷の擬声語は現代の「ゴロゴロ」ですが、
古語では「ハタハタ」と表現され、
これが「ハタハタ」という名前の由来と
言われています。
 
秋田県では、冬に海が荒れて雷が鳴るような
天候の時に獲れることが多いことから、
別名「カミナリウオ」とも呼ばれています。
漢字では「鰰」と表しますが、
これは雷を意味する古語「霹靂神」(はたたがみ)に由来するようです。

 
背部に独特の斑紋があるため「斑斑」と、
冬の日本海の荒波の中を獲りに行くことから「波多波多」と表記されることもあります。
 
また秋田では「佐竹魚」(さたけうお)という
別名もありますが、これは関ケ原の合戦後に
水戸の領主の佐竹公が秋田に国替えしてから、
「ハタハタ」が大漁になったという
俗説によるものです。
 
その他の地方名としては、
オキアジ、カタハ、シマアジ(新潟)、
シラハタ(島根)、シロハタ(鳥取)などが
あります。
 

ハタハタの旬は年2回

1回目は10~1月の秋から冬にかけてで、
2回目は3~5月の春頃だと言われています。
 
「ハタハタ」の産地として有名なのは、
「秋田県」と「鳥取県」です。
 
 
 
本州北部にある秋田県の「ハタハタ」の旬は
「冬」(11月末〜1月)です。
「ハタハタ」は11月末頃から
産卵のために、秋田県沿岸に上がって来て、
そこから一か月間が
「ハタハタ」漁の最盛期になります。
 
 
そのため秋田では、「ブリコ」と呼ばれる
卵を持ったメスが珍重されます。
 
 
 
山陰地方にある鳥取県の「ハタハタ」の旬は
「春」(3〜5月)です。
この時期は産卵期ではなく、エサ場である
山陰沖の深海を回遊しているので、
「ハタハタ」は身に脂がよく乗っていて、
とても美味しいです。
 
卵を楽しむなら東北地方で獲れるもの、
身を楽しむなら山陰地方で獲れるものと、
お好みで選ぶことが出来ます。
 

ハタハタはクセが少なくておいしい!

そんな「ハタハタ」の気になる味わいですが、
淡泊な味わいでクセが少なく、
ほのかな甘味がありとても美味しい魚です!
 
「鱗なし」「小骨なし」「身離れよし」と
言われる、3拍子揃った優れものです。
 
加熱しても固くなりにくいので、
一夜干しを焼くのが手軽ですが、
他にも煮つけ、から揚げ、粕漬け、味噌漬け、
寿司、鍋物など様々な楽しみ方があります。
 
 
冬に獲れる、魚体のシルエットが変わるほど
卵を抱えた子持ちのメスは、
プチプチとした弾力と粘りのある食感を
楽しむことが出来ます。
 
 
子持ちの「ハタハタ」を焼いて食べると、
この「ブリコ」が口の中でプチプチと弾けて、濃厚な旨みが広がります。
「ブリコ」を持ったメスの価値は高く、
表面にぬめりがあるものが、活きが良いです。
 

ハタハタ料理

焼き物
「ハタハタ」をシンプルに味わうには
「塩焼き」がおススメです。
オスは内臓を取り除いてから
塩焼きにするのがおススメですが、
メスの場合は、卵が入っていることがあり、
その場合は内臓を取り除かず、卵とともに
そのまま塩焼きにして味わうのが
いいでしょう。
 
ハタハタの唐揚げ
しっかりと下味を付けて唐揚げにします。
「ハタハタ」を揚げると、外はカリカリ、
中の身はふっくらと仕上がります。
 
ハタハタの南蛮漬け
香ばしく揚がった「ハタハタ」を、
たっぷりの野菜と一緒に南蛮酢で漬けます。
「ハタハタ」は熱いうちに漬けるのが
ポイントです。
 
ハタハタの炊き込みごはん
「ハタハタ」の干物には
旨味が凝縮されているので
炊き込みご飯にはピッタリです。
 
ハタハタ味噌汁
豆腐とネギという定番の具も、
出汁の効いた「ハタハタ」を加えることで
シンプルながらも、いつもとは一味違った
味噌汁に。
 
秋田の郷土料理「しょっつる鍋」
「しょっつる」とは、
漢字で「塩汁」や「塩魚汁」と書き、
「ハタハタ」に塩を加え熟成させて
発酵させて作った魚醤のことです。
 
 
この魚醬の「しょっつる」と
ハタハタや野菜を入れた鍋料理のことを「しょっつる鍋」と言います。
 
ハタハタ寿司
「ハタハタ寿司」は、蛋白質が不足しがちな
冬を乗り越えるために、昔の人が保存用に作った秋田の伝統食です。
「ハタハタ」を長時間熟成させ、
人参、生姜など多めの野菜を使って、
塩とごはんを一緒に漬け込んだ、
「熟れ寿司」の一種です。
子持ちの「ハタハタ」を使用したものもあり、
プチプチとした卵の食感がたまりません。
 
鳥取県「シロハタ寿司」
鳥取では「ハタハタ」を「シロハタ」と言い、
「シロハタ」を塩漬けした後、塩抜きし、
酢、砂糖、塩で味付けした「おから」に
漬け込んで作ったものです。