国之常立神

(くにのとこたちのかみ)
国土が形成されつつある時、
「別天つ神」(ことあまつかみ)の五柱の神々の後に誕生した
「神代七代」(かみのよななよ)の神々の最初に生まれた神様です。
独神であり、姿を現さなかったと記されています。
 
 
 

どんな神様?

『古事記』では、「国之常立神」(くにのとこたちのかみ)と言い、
「別天つ神」(ことあまつかみ)の五柱の神々の後に誕生した
「神代七代」(かみのよななよ)の神々の最初に生まれた神様です。
 
「別天つ神」の五番目の神・天之常立神(あめのとこたちのかみ)と対をなし、
天之常立神が天そのものを神格化した存在であるのに対して、
国之常立神(くにのとこたちのかみ)は大地を神格化した存在と言えます。
 
 
『日本書紀』では、
この世界に最初に姿を現した神様として紹介されています。
「まだ天地が混沌として、
 水上に浮く魚の様に陸地に浮き漂っていた時、
 天地の中に一つのものが生じた。
 その姿は「葦牙」(あしかび)のようであった。
 それが神となった。」とあります。
 
 
『古事記』よりも『日本書紀』が重んじられた中世では、
最も重要視されました。
神道界に大きな影響力を持った「吉田神道」では、
宇宙の根源である別格の神である
「大元尊神」(だいげんそんしん)とされました。
 
しかし、江戸時代に国学が盛んになると
『古事記』が重要視されるようになり、
「国之常立神」への信仰は、
「天之御中主神」(あめのみなかぬし)に置き換えられていきました。
 
大正から昭和初期に発展をした神道系新宗教教団「大本」は、
「出口直」(でぐち なお)が神懸った神
「艮の金神」(うしとらのこんじん)=「国之常立神(国常立尊)」の
神示を伝えたものです。
「立替え・立直し」という終末主義的な宣伝を活発化させ、
知識人や日露戦争で活躍した秋山真之などの海軍士官を含め、
急激に信者を増やしました。
 
 

別称

  • 国之常立神          :古事記
  • 国常立尊(くにのとこたちのみこと):日本書紀
  • 国底立尊(くにのそこたちのみこと)
  • 大元尊神(だいげんそんしん)   :吉田神道
 
 

ご利益

  • 国土安泰
  • 国土開発
  • 開運招福
  • 五穀豊穣
  • 商売繁盛
  • 立身出世
  • 健康長寿
  • 厄除け
  • 病気平癒
 
 

神格

  • 国土形成の根源神
  • 国土の守護神
 
 

国之常立神をお祀りする神社

国土形成の根源神、国土の守護神として信仰され、
山岳信仰系の神社を中心に祀られ、
熊野三山の熊野速玉大社相殿などの祭神となっています。 
 

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