「安産祈願」で知られる
「水天宮」(すいてんぐう)は、
福岡県久留米市の水天宮(久留米水天宮)を総本宮とし、
日本全国にある神社です。
水天宮は水及び子供に縁の深い神社であり、
水には「流し出す」作用があり、
このことから、
安産・病気治癒、水難除けのご利益があるとされ、
祀られている祭神(安徳天皇)が子供の守護神であることから
安産・子授けのご利益があると信仰されています。
水天宮には四柱の神様がお祀りされています。
祭神は「天之御中主神」(あめのみなかぬしのかみ)です。
『古事記』では、
天地開闢(てんちかいびゃく=この世界の始まり)の際に
高天原(たかまがはら)に最初に出現した神だとしています。
神名も、天(高天原)の中央に座するという意味で、
宇宙の根源の神、あるいは宇宙そのものと言われています。
なお、祭神に「天之御中主神」が加わったのは
明治維新以降です。

水天宮が、建礼門院に仕え、壇ノ浦合戦を生き延びた
按察使局伊勢(あぜちのつぼねいせ)が創建したことから、
「安徳天皇」、「建礼門院」(高倉中宮・平徳子)、
「二位の尼」(平時子)が祀られています。
毎月5日は水天宮の縁日です。
全国の総本宮である久留米の水天宮では、
1月5日に「初水天宮祭」が斎行されます。
年末の12月5日は
「納め水天宮」あるいは「終い水天宮」と呼ばれています。
(小樽の水天宮など一部に祭神の異なる社もあるのでご注意を)
総本宮である久留米の水天宮と並んで有名なのが、
東京・日本橋蛎殻町にある「水天宮」です。
江戸の水天宮は、
文政元(1818)年、
久留米藩9代藩主・有馬頼徳(ありまよりのり)が
江戸・三田の久留米藩江戸上屋敷に
分霊を勧請したのが始まりです。
久留米藩有馬家上屋敷内に祀られていた水天宮は、
邸内ということもあり、
一般の参拝は当然、禁じられていました。
庶民は門外より賽銭を投げ参拝していたのです。
そこで久留米藩では、
江戸でも信仰者の多い
水天宮への一般参拝の許可を求める
特別な伺書を幕府へ提出、
幕府が毎月5日に限って、これを認めました。
妊婦は参拝すると、
「鈴乃緒」(鈴を鳴らす晒しの鈴紐)のお下がりを授与され
腹帯として安産を祈願したところ、非常に安産だったことから
人づてににこの御利益が江戸市中に広まります。
その人気ぶりは
「情け有馬の水天宮」という地口(言葉遊び)も生まれたほど。
久留米藩にとっては、
お賽銭などが年間2000両(安政年間)にもなって、
大いに藩財政を潤したことから、
幕末まで毎月5日の参拝日は続きました。
東京の水天宮の境内には、
周囲を取り巻く十二支のうち、自分の干支を撫でると
安産、子授け、無事成長など
様々なご利益があると言われる「子宝いぬ」、
足下と胸、肩に赤ちゃん河童がしがみつく「安産子育河童」、
ブリヂストン創立者・石橋正二郎奉納の「狛犬」、
有馬家上屋敷にあったという
「寳生辨財天」(ほうしょうべんざいてん)もあるので
お見逃しなく。
(参考:「戌の日・帯祝い」)