和久産巣日神

(わくむすびのかみ)
火の神・火之迦具土神ひのかぐつちのかみを生んだことによって
火傷をした伊邪那美命は病に臥し、
苦痛の余り排泄した尿から成った二柱のうちの一柱で、
「神生み」の最後に生まれた神です。
後に豊受大神とようけおおみかみを生んだ、五穀・養蚕の神として熱く信仰されています。
 
 

どんな神様?

 

農耕神

伊邪那美命は火の神・火之迦具土神ひのかぐつちのかみを生んだことにより
大火傷を負います。
しかし、 床に伏せながらも神々を生み続けました。
苦痛の余り嘔吐、大便、そして最後に尿を排泄しました。
嘔吐、糞を出したのに続けて、
最後に尿をしますが、その尿からも二柱が生まれました。
その尿からも二柱が生まれました。
「彌都波能売神」(みつはのめのかみ)と「和久産巣日神」(わくむすびのかみ)
です。
 
「ワク(和久)」は「若々しい」、
「ムスヒ」は高御産巣日神たかみむすび神産巣日神かみむすびの「産巣日むすひ」と同じく、
「生成の霊力」を意味します。
すなわち「和久産巣日神わくむすひのかみ」とは、
「若く創造像力のある輝く神様」という意味の名前で、
生まれながら莫大なエネルギーを持つ神様としての性質があり
そのことから、農耕に有益な肥料のイメージとも結びついているのです。
 
このことは、和久産巣日神わくむすひのかみが、
伊勢神宮の外宮の祭神で、生産神・食物神として名高い
豊宇気毘売神とようけのびめかみ」の親神であることにも繋がっています。
 

養蚕の神

『日本書紀』では、伊弉冉命いざなみのみこと
火の神・軻遇突智かぐつち(火迦具土神)を生んで死ぬ間際に、
水の神の罔象女みつはのめ(『古事記』弥都波能売神みつはのめのかみ)と
土の神の埴山姫はにやまひめ(『古事記』波邇夜須毘売神)の神を生みます。
 
その後、軻遇突智かぐつち(火迦具土神)が埴山姫はにやまひめを娶り、
生れた神が稚産霊神(和久産巣日神)だとしています。
その時、稚産霊神(和久産巣日神)の頭から蚕と桑が生じたと言われ、
ここから和久産巣日神は「養蚕の神様」になりました。
 
皇室では、皇后陛下は代々、養蚕をしていらっしゃいます。
これは、お育てになった蚕から出来る絹糸で
外国の人のために贈る
プレゼントを作ったりするという実際的な面もありますが、
それ以上に、古くから伝わってきた大切な教えを
次の世代に繋げていくという意味もあるのです。
 
 

別名

  • 稚産霊
 
 

神格

  • 水神
  • 農耕神
 
 

ご利益(神徳)

  • 農耕守護
  • 祈雨・止雨
  • 五穀豊穣
  • 開運招福
  • 子孫繁栄
 
 

和久産巣日神をお祀りする神社

  • 竹駒神社   (宮城県岩沼市)
  • 安積国造神社 (福島県郡山市)
  • 麻賀多神社  (千葉県成田市)
  • 王子稲荷神社 (東京都北区)
  • 愛宕神社   (東京都港区愛宕)
  • 鉄砲洲稲荷神社(東京都中央区)
  • 久井稲荷神社 (広島県三原市)

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