人形供養

 
「人形供養」とは、
大切な人形を手放す時に、
今までの感謝の気持ちを込めて行う
祈りの儀式のことです。
 
古くから「人形には魂が宿る」という
考え方があります。
「人形供養」は、人形やぬいぐるみなどを、
まるで亡くなった人と同じように
神社やお寺で供養して、お別れをします。
 
 

「人形供養」の起源

日本には「人形に魂が宿っている」と信じ、
大切にする風習があります。
これは、古い道具は長い年月を経て魂を宿し、
精霊や妖怪になるという概念によるもので、
精霊や妖怪になった道具を
「付喪神(九十九神)」(つくもがみ)と呼びました。
 

 
「人形」の起源は、縄文時代の人の形に象った
「土偶」にまで遡ります。
「土偶」は信仰の対象、呪術の道具として
厄災を避けるべく、「身代わりの人形」として
使われていました。
 
 
平安時代には、子授けや安産の祈願の際に、
心願成就のお礼として
子供の身代わりに人形を奉納したり、
子供の身に降り掛かる災いを除くために
「身代わり人形」を子供の枕元に置き、
その役目を終えた人形をお焚き上げしたことが
「人形供養」の起源と言われています。
 

 
大切にしていた人形に感謝の気持ちを込めて、役目を終えた時には、神社やお寺で
丁寧に供養し成仏して頂こうというのが、
「人形供養」の目的です。
 

人形の日

 
古くから10月15日には、多くの地域で
「人形供養」を行う風習があったことに由来し、
人形の製造業者や小売業者の業界団体
日本人形協会」と「日本玩具及び人形連盟」は
昭和40(1965)年に「人形の日」を制定し、
「人形供養」を働きかけました。
 
両協会は、昭和47(1972)年に
「抜本的な検討を加える必要がある」として、
積極的な活動を休止しましたが、
「人形供養」や「人形感謝祭」は盛んになり、
今でも全国各地で開催されています。
 

「人形供養」の方法と流れ

 
「人形供養」をする方法は、
「寺社」「葬儀社」にお焚き上げをしてもらう、
「代行サービスなどの業者」にお願いする、「自分で行う」といった方法があります。
 
お寺・神社で供養する
「人形供養祭」「人形感謝祭」を行なっている神社・お寺は全国に数多くあります。
 
寺社によって、常時受けつけている所と、
「感謝祭」のように期間限定の所もあります。
 
<参考>

www.rakuten.ne.jp

 
また、郵送を受け付けている寺社や、
人形供養専門のサービスを行っている寺社も
ありますので、離れていても「人形供養」を
依頼することが出来ます。
 
業者に依頼する
「人形供養」を行っている葬儀社もあります。
各ホールで不定期に「人形供養祭」を開催。
僧侶を招き、ホール内の祭壇に人形を並べ、
焼香を行っているからお別れ(供養)します。
 

www.famille-kazokusou.com

 
業者などの郵送・代行サービスを利用する
人形の町、埼玉県の岩槻では、毎年11月3日に
「人形供養祭」が開催されています。
 

www.tougyoku.com

 
日本人形協会」を利用する場合は、
申し込み後に届くキットで人形を郵送します。
中には、出張引き取りを行っている業者も
あるようです。
 

www.ningyo-kyokai.or.jp

 
自分で供養する
自分の手で供養する方法もあります。
以下はあくまでも参考です。
  1. 人形を綺麗に拭いて、乱れた髪を整える
  2. 白い布や和紙で人形を包む
  3. 感謝の気持ちを込めながら粗塩を振りかける
  4. 自治体のルールに従ってゴミ収集日に出す
結局はゴミとして捨てるので、
気持ちが落ち着かない場合もあるでしょう。
その際には寺社や教会などを訪れて、
再度お別れのお祈りをすると、
少しは気が晴れるのではないでしょうか?
 

「人形供養」を行っている主な寺社

明治神宮人形感謝祭
平成元(1989)年に斎行されました。
今では秋の恒例行事として、
また東京の秋の風物詩として定着しています。
 
人形供養寺「宝鏡寺」
京都の「宝鏡寺(ほうきょうじ)は室町時代の創建で、
歴代皇女が住持となる門跡尼寺です。
「人形寺」という別名を持ち、
春秋に人形展が開かれ、一般公開される。
「人形供養寺」としての歴史は、
昭和34(1959)年から行われています。
 
雛流しの「淡嶋神社」
和歌山県の「淡嶋神社(あわしまじんじゃ)は、
全国にある淡島神社・粟島神社・淡路神社の
総本社であり、お祀りしている「淡島神」は
婦人病の治癒を始めとして、
安産・子授け・裁縫・人形供養などの
「女性に関するあらゆることに霊験のある神」
とされています。
毎年3月3日には、願い事を書いた人形を
舟に乗せて送り出す「雛流し」という
神事が行われています。
全国から供養のために様々な人形が奉納されています。
人形供養は、郵送や宅配は不可なので、
必ず現地持ち込みをして下さいとの事です。
 
400年の人形供養の歴史を持つ「長福寿寺
千葉県の「長福寿寺」は、人形供養を始めて
400年という歴史を持つお寺です。
長福寿寺では、僧侶が3ヶ月もの間、
読経供養をしてから火葬します。
人形専用の火葬炉があり、プラスチック製でも供養出来るそうです。
 

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