初薬師(はつやくし)

毎月8日と12日は、薬師如来の縁日です。
1月8日は、新年初めての特別な縁日です。
 
医者を意味する「薬師」を名前に持つ
この仏様には、
病気や傷を治し、寿命を延ばす
御利益があるとされることから、
この日、各地の薬師如来を祀る
お寺では法会が行われ、
一年の無病息災と延命を祈願する
参拝客で賑わいます。
 
 
「薬師如来」は
薬師瑠璃光如来やくしるりこうにょらい」の略称で、
衆生の様々な病苦を除き、
身心の健康を守って下さる
現世利益の仏様として、
日本中に信仰が広まりました。
サンスクリット語名は、
「バーイシャジヤグル」です。
「バーイシャジヤ」は「医薬、医療」、
「グル」は「導師、指導者」の意味で、
合わせて「医薬の導師」「医療の指導者」です。
 
 
薬師如来は、左手に「薬壺」(やっこ)を持ち、
右手の薬指を前に出しています。 
「薬壷」(やっこ)の中には、
体の病、心の病、社会の病を全て治してしまう
霊妙なる薬が入っています。 
薬師如来の特徴は、阿弥陀如来のように
死んだ後に安らぎを与えるのではなく、
現世に安らぎを与えてくれるという点です。
 
<ご利益>

 病気治癒(特に目病)、健康長寿、
 災難除去、安産祈願、現世利益
 
 
正月8日は、新年初めての薬師の縁日です。
薬師は病を癒すと言われ、信仰されていますが
元旦にお参りすると、平常の三千日分の
御利益が言われています。
薬師如来を信仰し、念誦する法会である
「薬師講」が8日に開かれるので、
縁日が8日になったと推測されています。 
 
<薬師如来真言>
オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ
 
 
 
徳川幕府を開いた徳川家康は、
家康の両親が「薬師信仰」に篤く、
峰の薬師(三河の鳳来寺)に祈願して
家康が生まれたことから、
薬師如来の生まれ変わりだと言われています。
 
天文11(1542)年2月、徳川家康の父・松平広忠と
母・於大の方は、七日七晩、鳳来寺に籠って
子が授かるよう祈願すると・・・、
満願の日、於大の方の夢枕に峯薬師が立ち
「十二神将のうちの真達羅大将を世継ぎとして
 授ける」 と告げられました。
その後、身籠った於大の方は、12月26日(寅年の寅の日)の寅の刻に男子を出産。
この子が竹千代、後の徳川家康でした。
 
家康が産まれると、家康の生まれ年の
「寅」の守り神で、薬師如来の世界と
それを信仰する人々を守る
「十二神将」(じゅうにしんしょう)の一神将で、
普賢菩薩の化身とも言われる
「真達羅大将像」(しんだらだいしょうりゅうぞう)
鳳来寺から消え去り、家康が亡くなると元の位置に戻ってきたという伝承が残されています。
真達羅大将の生まれ変わりが家康だとも伝えられるようにもなりました。
 
天海大僧正(天台宗)の働きもあって、
朝廷から「東照大権現」の神号が下され、
天台宗系の「山王一実神道」によって
「日光東照宮」に祭祀されましたが、
薬師如来が本地仏となっています。
 
「東照大権現」(とうしょうだいごんげん)とは、
「東に照る(東方薬師瑠璃光)如来が
 権りに現れた神」という意味です。
 
 
1. 薬師寺(奈良県)
 「初薬師縁日・大般若経転読法要」
 
2. 一畑薬師(島根県出雲市)
 例月祭「ようかさん」、「開運星まつり」
 
3. 新井薬師梅照院(東京都中野区)
 「初薬師開運セール」薬師あいロード商店街
 
4. 日向薬師(神奈川県伊勢原市)
 本尊ご開帳、「薬師粥」の振る舞いがある。