紙垂(しで)

 
「紙垂」(しで) とは、
「注連縄」「玉串」「祓串」(はらいくし)
「御幣」(ごへい、おんべい、おんべ) などに
取り付けられている特殊な断ち方をして
折った紙のことを言います。
 
「紙垂」(しで) には、
「聖域を表す象徴」という意味があります。
邪気を払い、神様をお迎えする意味もあります。
その形は「稲妻」から来ていて、
邪悪なものを追い払うという説があります。
 
 
「紙垂」は、『古事記』の「天岩屋戸の条」に
ある次の記述に由来します。
「天香山の五百津真賢木いおつまさかき」を根こじにこじて、
上枝に
八尺勾玉之五百津之御須麻流之玉やさかのまがたまのいおつのみすまるのたま」を取り繋け
中枝に「八咫鏡やたのかがみ」を取り繋け、
下枝に「白丹寸手しらにぎて」「青丹寸手あおにぎて」を取り垂でて
 
「白丹寸手」(しらにぎて) は木綿のことで、
「青丹寸手」(あおにぎて) 大麻布のことです。
 
 
かつては穢を祓い清めるためには
「麻」が用いられていましたが、
後に楮から採った糸から作った「木綿」(ゆう)
楮から作った「和紙」を用いるようになって、
後世になると、この紙を榊の枝に付けて
清浄の証としたようです。
 
「紙垂」の紙の素材としては、
「奉書紙」や「越前奉書」「伊予奉書」などが
用いられていますが、
「半紙」は水に弱いため、
プラスチックコーティングされた
「耐水和紙」を使用する神社もあります 。
家庭ではコピー用紙を使用したりしています。

 

 
「紙垂」は「四手」や「垂」とも書きます。
基本的に注連縄につける際、
「紙垂」は4枚垂らす場合が多いです。
しかし、「紙垂」の枚数は
正式に何枚と決まっているものではなく、
場所や神社により異なります 。
そして垂らす数で呼ばれ方が異なってきます。
2枚の場合は「二垂」(ふたたれ)
3枚の場合は「三垂」(みたれ)
4枚の場合は「四垂」(よたれ)・・・です。
 
ところで「注連縄」(しめなわ)
「七五三縄」と表記される場合がありますが、
これは「七五三縄」には、
「〆の子」と呼ばれている房が
7本または5本付いていて、
その房の間に3枚、房の両側に2枚の、
合計5枚の紙垂を垂らす場合があるからです。
 
 
「紙垂」は、断ち方、折り方には
いくつか流派があり、
代表的なものとしては、
「吉田流」「白川流」「伊勢流」があります。
どの「流派」を使うのかとか、
「垂れの数」の使い分けは
地方や神社によって異なり、
境内の中と境内の外で「流派」を変えることも
あるようです。
 

  

 
・吉田流
 一番よく見る形の紙垂です。
1. 半紙を半分に折ります
2. 更に四等分になるよう縦の折り目を作り、
 三つ出来た折り目のうち、
 左右の折り目には上から2/3程度の長さ、
 真ん中の折り目は下から2/3程度の長さで
 縦に切り込みを入れます。
3. 左端から順に切り込みの部分を手前へ折って
 いきます
4. 一番左の上端を三角に折って完成です
 
・白川流
 「吉田流」とは、一か所だけ折り方が違う
 作り方になっています。
 
・伊勢流
 3つの流派の中では、
 一番簡単な作りになっており、
 「吉田流」や「白川流」とは
 紙垂の見た目も大きく違います。 
 

f:id:linderabella:20210325090255j:plain f:id:linderabella:20210311155416j:plain