青柴垣神事(あおふしがきしんじ)

島根半島の東端に位置する美保関(松江市美保関町)には、
美保神社(みほじんじゃ)が鎮座しています。
 
 
美保神社」の御祭神は、
「えびす様」の別名で知られる「事代主神」(ことしろぬしのかみ)
母神である「三穂津姫命」(みほつひめのみこと)です。
 
「事代主神」(ことしろぬしのかみ)
「大国主命」(おおくにぬしのみこと)の子として
共に日本の国造りを行った国津神です。
また、七福神の「えびす様」と同一視されることから、
美保神社」は全国3000以上ある「えびす様」の総本宮であり、
出雲大社」と一緒に「両参り」すると
縁結びのご利益が増すとも言われています。
 
 


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美保神社(みほじんじゃ)では、毎年4 月7日、
青柴垣神事(あおふしがきしんじ)という神事が
行われています。
 
高天原から派遣された「建御雷神(たけみかづちのかみ)らに
国を譲るよう迫られた国津神の「大国主命」(おおくにぬしのみこと)は、
その可否を息子の「事代主神」(ことしろぬしのかみ)に相談します。
「事代主神」は国譲りに同意するものの、天の逆手を拍って、
自ら海中に乗っていた船を青柴垣の神域に変化させて、
そこに籠もられたという「国譲りの神話」を儀礼化したのが、
青柴垣神事」です。
 

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祭りの日は4月7日ですが、
行事は3月31日に始まり、神事当日の4月7日を経て、
4月12日まで様々な行事が行なわれるのです。
 
青柴垣神事」は、
氏子による独自の祭祀組織によって成り立っています。
中心となるのは、
頭人とうにん當屋とうや(2名)、客人當まろうどとう、休番(2名)と呼ばれる6名の人達で、
総称して役前と言います。
役前は日々の潔斎を欠かさず行い、神事のために備えます。
これに神事を取り仕切る世話役の「上官」(じょうがん)
神事中の奉仕をする「準官」(じゅんがん)が加わります。
 
3月31日、両當屋が神社に参籠することから始まり、
当日4月7日まで様々な儀式や準備が行われます。
 
當屋とうやは祭礼前日から「美保神社」の隠殿(かくれでん)に籠もって
物忌潔斎(ものいけっさい)に入り断食し、
神がかった状態で当日に臨みます。
 
当日は、この当屋夫婦を青柴垣を飾った2隻の船に乗せて、
笛、太鼓を奏でる神楽船を従え、美保湾内を一周。
船は2 間四方の囲いを設け、四隅の柱に榊を立てるのですが、
元はこの囲い自体が榊であったとそうです。
 
その後、「美保神社」に参拝、奉幣し、
一週間に及ぶ神事は静かに幕を下ろすのです。
 
なお「青柴垣神事」は、国の民俗資料に指定を受けています。
 
  • 住所:〒690-1501
    島根県松江市美保関町美保関608