布刀玉命(ふとだまのみこと)

「天岩戸」において、須佐之男命の乱行によって石屋に籠った
天照大御神を外へ出すために活躍。
更に「天孫降臨」の際は、
邇邇芸命に従って「五伴緒」の一人として随伴しました。
忌部氏(後に斎部氏)の祖の一柱とされています。
 
 

どんな神様

天岩戸神話で祝詞を奏上した神
岩戸隠れの際、思兼神が考えた策が良いかどうかを占うため、
「天児屋命」(あめのこやねのみこと)とともに太占(ふとまに)を行いました。
 
それから、八尺瓊勾玉や八咫鏡などを下げた
天の香山の五百箇真賢木(いおつまさかき)を「御幣」(ごへい)として捧げ持ち、
「天児屋命」(あめのこやね)が祝詞を唱えました。
 
天照大御神が岩戸から顔を覗かせると、
「天児屋命」とともにその前に鏡を差し出し、
更に、天照大御神が天手力男神に引き出されると、
すかさず「尻久米縄(注連縄)」で 岩戸の入り口を塞ぎました。
 
 
玉串と注連縄のルーツとなる神さま
「布刀玉命」(ふとだまのみこと)は、神社で見かける
「玉串」(たまぐし)や「注連縄」(しめなわ)のルーツとされる神様です。
 
「天岩戸」では、岩戸に隠れた天照大御神を誘い出すために
洞窟の前で「太占」を行い、「大玉串」を作りました。
「布刀玉命」はそれを捧げ持ち、
同時に祝詞の神である「天児屋命」が「祝詞」を奏上して、
天照大御神の出現を願いました。
 
更に、天照大御神が天岩戸から出て来た時に、
すかさず「布刀玉命」が用意していた「尻久米縄(注連縄)」で
岩戸の入り口を塞ぎました。
これにより天照大御神が再び岩戸に隠れることなく
この世に太陽の光が満ちたとされました。
 
岩戸の入り口を締め切る「注連縄」は、
この時まさにバリアの役目をしていますが、
この場合は「光輝く日の神の居場所はこちらですよ」と、
天照大御神の本来あるべき場所(聖域)を示すものともいえます。
 
 
天孫降臨神話の五伴緒の一柱
「天孫降臨」にも登場し、天児屋命(あめのこやねのみこと)
布刀玉命(ふとだまのみこと)・天宇受賣命(あめのうずめのみこと)
玉祖命(たまのおやのみこと)と五伴緒(いつとものを)の1柱として
邇邇芸命に随伴したとされます。
 
『日本書紀』の一書では、
天児屋命と共に天照大御神を祀る神殿(伊勢神宮)の守護神になるよう
命じられたとも書かれています。
 
 
宮廷祭祀の執行責任者・忌部氏の祖神
布刀玉命が作った玉串や注連縄は、
神を祀る儀式には欠かすことの出来ない祭具です。
天岩戸で活躍した後、天孫降臨に随伴して天降りした布刀玉命は、
祭祀を司る役目を果たした言われ、
『日本書紀』では忌部氏の遠祖と記されています。
 
忌部氏というのは代々、
宮廷における祭祀の執行を統括することを専門に担当した氏族で、
宮廷での儀式に使う様々な祭具を作る部門の管理も
担当していたと考えられています。
 
 

別称

  • 太玉命  (ふとたまのみこと)   『日本書紀』
  • 天太玉命 (あめのふとだまのみこと)『古語拾遺』
  • 天櫛玉命 (あめのくしたまのみこと)『新撰姓氏録』
  • 大麻比古命(おおあさひこのみこと)
 
 

神格

  • 占いの神
  • 祭具の神
  • 麻の神
  • 楮の神
  • 神事の神
 

御利益

  • 災難除け
  • 厄除け
  • 方位除け
  • 縁結び
  • 技術向上
  • 殖産業守護
  • 織物などの産業守護
 
 

関連神

  • 父神:高御産巣日神(たかみむすびのかみ)
 
 

祀られている神社

  • 天太玉命神社(奈良県橿原市)
  • 大麻比古神社(徳島県鳴門市)
  • 安房神社  (千葉県館山市)
  • 大原神社  (千葉県君津市)
  • 洲崎大神  (神奈川県横浜市)
  • 安房口神社 (神奈川県横須賀市)
  • 金札宮   (京都府京都市)など
 

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